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ハムステッド・ヒースへ [2008ロンドンの旅]

2008年12月28日(日)、現地時間 午後0時15分、ロンドン ハムステッド・レーン。

あの。私は何もお墓参りだけをしにロンドンまでやって来たわけではないのだよ。
他にも目的はいくつもあった。その内のひとつが絵画鑑賞。
特にフェルメール作品を鑑賞することが大きな目的のひとつだったのである。
ロンドンにはフェルメール作品が4点ある。今回はその内の3点を鑑賞する計画を立てていた。
今から向かうケンウッド・ハウスというところはそのフェルメール作品を1点所蔵している。

これは自慢だが、私はフェルメール作品をかなり生で観ているほうであると思う。
その現存する作品数は30数点といわれているけれども、
記憶が正しければ、私はこれまでその内の17点を鑑賞している。
昨年の上野での「フェルメール展」で数を稼いだことも大きいのだけれど…。
で、今回予定している3点を見事制覇すれば、20点鑑賞というキリのよい数字なのである!

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2005年、ドレスデンで鑑賞したフェルメール作「取り持ち女」

ハイゲート墓地から坂道を上がり、そのケンウッド・ハウスを目指してひたすら歩いてゆく私。
ケンウッド・ハウスはハイゲート墓地から十分徒歩で到達できる距離だとふんでいた。
だが、この辺りはロンドンの中心地ではないので、ガイドブックの地図を見ても詳しく載っていない。
さらに、歩いていても、こちらがケンウッド・ハウスだよ、みたいな標識も少ないのだ。
私は不安になりながら、ハムステッド・レーンという名の路を歩き続けた。

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ハムステッド・ヒースの看板

20分以上歩いていただろうか。こちらがハムステッド・ヒースだよ、みたいな看板を見つけた。
ハムステッド・ヒースは広大な公園で、ケンウッド・ハウスはこの公園の中に位置している。
とりあえずこの公園内に入ろう。この公園内に間違いなくケンウッド・ハウスはあるのだから。
そんなわけで、私は迷うことなくその看板の立つ公園の敷地内へ入って行った。
林の中の小道を進んでゆくと、出現したのは見渡す限りの芝生の空間だった。広すぎる。
また、芝生を歩いたところ、地面がぬかるんでいて、靴は泥まみれとなった。

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ハムステッド・ヒース①

ハムステッド・ヒースに来たのはよいが、ケンウッド・ハウスはどこなのかわからない。
フェルメール制覇への道はかくのごとく苛酷なのである。
ただ、ケンウッド・ハウスはこの公園の北に位置しているようなので、
私は今まで歩んできた感覚を頼りに公園の北に向かってなんとか歩き出したのである。
すると、なにやら建物らしきものが見えたので、あれがケンウッド・ハウスであろうと予想し、
靴が泥まみれの上に強風で髪がボサボサのあやしげなる私はそちらへずんずん進んだのである。

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ハムステッド・ヒース②

やがて、私の予想は確信へと変わった。その建物が近付くにつれ人の数が増えだしたのだ。
そして、その皆が同じ建物を目指している。白亜の建物だ。
白亜の建物はぐんぐん大きくなる。間違いない。ここがケンウッド・ハウスである。
ケンウッド・ハウスは元は18世紀の伯爵の邸宅だったところなのだそうだ。
泥の靴じゃ入場がためらわれるわな。靴の泥を丁寧に拭って、いよいよ入場だ。
嬉しいことにここも入場は無料なのである!

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ケンウッド・ハウスへ向かう人たち
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ケンウッド・ハウス [2008ロンドンの旅]

2008年12月28日(日)、現地時間 午後0時40分、ロンドン ケンウッド・ハウス。

ケンウッド・ハウスに入ると、右手にショップの空間があったけれども、
そこを訪れるのは後にして、私はただ1枚のフェルメールの絵を目当てに展示室を回る。
各展示室は瀟洒な家具が配置され、床面にはこれまた洒落た絨毯が敷いてある。
私はついさっきまで泥まみれの靴であったので、この絨毯の上を歩くことに躊躇してしまった。
そんな状態の私だったが、いくら展示室を巡回してもフェルメールの絵画は現れない。

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ケンウッド・ハウス

ひょっとすると、素通りしてしまい、気付かなかっただけなのだろうか?
だとしたら、フェルメールの絵画はそんなにアウラのないものなのであろうか?
そんなわけはないであろう。じゃあ、何だ?今はどこかに貸し出しているのではないだろうか?
それは可能性としては十分考えられることであろう。
もしかして、また盗まれたとか?そりゃ多分ないであろう。
あ。トイレットに行きたくなってきた。

便意をもよおした私はトイレットが設えられている地下へ向かった。
トイレットに向かう階段の中途の壁にフェルメールの「ギターを弾く女」のポスターがあった。
あ。これだよ。これ。この作品が観たいんだよ。だけど、ポスターを見たってしょうもないでしょう。
ケンウッド・ハウスに来てフェルメールのポスターを見て終了というのはあまりに阿呆である。
用をたした私は決意を新たに再度展示室を巡回。「ギターを弾く女」を捜索することにした。

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ケンウッド・ハウス正面

「ギターを弾く女」はレンブラントやフランス・ハルスの作品などと同じ部屋に展示されているという。
そういえば私はここケンウッド・ハウスでレンブラントもハルスもまだ観ていないではないか。
ひょっとすると、素通りしてしまい、気付かなかっただけなのだろうか?
そんなわけはないであろう。じゃあ、何だ?今はどこかに貸し出しているのではないだろうか?
もしかして、また盗まれたとか?そりゃ多分ないであろう。
あ。奥のほうに薄暗い展示室がある!

いちばん奥の展示室であった。単純に私が見落としていた展示室である。
そこにレンブラント、ハルス、そしてもちろんフェルメールの「ギターを弾く女」は展示されていた。
やはり、この展示室がケンウッド・ハウスでいちばんアウラをはなっている。
ここに来て素通りすることは絶対ないであろう。
レンブラントの自画像は晩年のもので、パレットと筆を右手に持ちこっちを見ている。
もうだいぶ生活が苦しい頃の作品で眼は寂しげだけれど、堂々としているようにも見える。

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レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)作「パレットと絵筆をもつ自画像」

一方、ハルスの作品はにこやかな顔のおっさんがこっちを見ている人物画。表情がいいですね。
私はハルスの絵は好きである。筆遣いは精緻ではないのに、人物の性格が伝わってくる。
ハルス作品と対峙していると、その絵画中の人物と会話ができるような気がしてしまうのだ。
そんなわけで、いつも取材先でハルスの作品を見つけると、ぢっと観てしまう。
さらにポストカードがショップで売られている場合には購入してしまうのである。今回ももちろん。

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フランス・ハルス(1580頃-1666)作「Pieter van den Broecke の肖像」

さて、いよいよフェルメールの「ギターを弾く女」とのご対面である。
皆さん見てください。今私のいるこの展示室。鑑賞している人は私を含めて5人程度です。
そこに、特別扱いなどされず、当たり前のように他作品と並んでフェルメールがあるのです。
そのフェルメールの前に私がひとりで立って、ぢっと鑑賞することができるこの幸せ。
昨年の「フェルメール展」は満員電車のようだったからな。じゃ、続きは次回で。


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ケンウッド・ハウス~大英図書館 [2008ロンドンの旅]

2008年12月28日(日)、現地時間 午後1時00分頃、ロンドン ケンウッド・ハウス内

「ギターを弾く女」はフェルメール作品にたびたび登場するイエローのガウンに身を包んでいた。
この作品はフェルメール作品の中でも完成度は高くないといわれているが、
その聞いたことは、実物を目前にしてみても覆ることはなかった。
ギターや額縁の装飾部だとか、この女性の衣服の陰影の処理がいまいちで、
こういう箇所は昔の映画の手描き看板のような印象すら受けるのである。
それに、このギターを弾いている女は顔色が悪い。薄暗い展示室だからなおさらだった。

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ヨハネス・フェルメール(1632-1675)作「ギターを弾く女」


だが、私はフェルメール作品を生で鑑賞すること自体を目的としていたので、
その目的に作品の良し悪しは関係が無いことであった。
今、目の前にフェルメール作品があるというこの状態を楽しんでいたのである。
だから、作品がベストではないのは判っているけれど、お構いなしに作品の前に立ち続けた。
そして、このギターを弾く女の髪の毛のくるるんとなったところをぢっと見つめていたのである。
このヘビのようなくるるんはなんなのだろうか?

これで実物を鑑賞したフェルメール作品は18点となった。
その18点でランキングを作るとしたら、「ギターを弾く女」はかなり下位になるだろう。
それでも、その展示室を去ることには後ろ髪ひかれる想いであった。
最後にケンウッド・ハウス内のショップで記念となる品を購入することにした。
私はここで歴史上の有名な英国王が絵柄で使用されているトランプとポストカードを購入。
ポストカードは3枚購入したら、もう1枚がタダとなったので計4枚。1枚0.40ポンド也。

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購入したトランプ

ケンウッド・ハウスを出ると時刻は13時10分をまわった頃で、これは少々時間が押し気味。
ここからまた地下鉄の駅まで歩いて帰るのはしんどいなあ、と考えていたら、
うまい具合にハムステッド・レーンに2階建てバスが停まっていた。
どこ行きのバスであるか分からないが、とりあえず乗車。程なくバスは動き出した。
いやあ、らくちんだ。やっぱりロンドンに来たら一度は2階建てバスに乗らんとね。

くつろぎながらも、車窓の景色を注視。わけのわからぬ方向へ向かっているのではかなわない。
すると、バスはもと来た地下鉄Archway 駅付近で停車したのでここで下車。
私はArchway 駅から地下鉄に乗り込み、次なる取材地へ向かうことにした。
その取材地とは大英図書館である。正直、ここは時間がなければパスしようかとも考えていた。
しかし、できれば観ておきたい展示がここにはなされているのであった。

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(左)セント・パンクラス駅 (右)大英図書館

14時10分前にはネオ・ゴシック様式のセント・パンクラス駅に着き、構内を歩く。
スーツケースを引きながら歩いている集団がゾロゾロいた。
どうやら、ユーロスターでパリから来た連中らしい。パリかぁ…。パリにも行きたいなぁ…。
ここからユーロスターに乗ればパリなんてすぐなんだよなぁ…。行きたいなぁ…。
ではここで、私は急遽パリ取材に予定を変更。できるわけがないでしょう。今回は銭も時間もない。
うーん、それでは時間はないけれど、観ておきたい展示がある大英図書館に行ってみましょうか。
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