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ケンウッド・ハウス [2008ロンドンの旅]

2008年12月28日(日)、現地時間 午後0時40分、ロンドン ケンウッド・ハウス。

ケンウッド・ハウスに入ると、右手にショップの空間があったけれども、
そこを訪れるのは後にして、私はただ1枚のフェルメールの絵を目当てに展示室を回る。
各展示室は瀟洒な家具が配置され、床面にはこれまた洒落た絨毯が敷いてある。
私はついさっきまで泥まみれの靴であったので、この絨毯の上を歩くことに躊躇してしまった。
そんな状態の私だったが、いくら展示室を巡回してもフェルメールの絵画は現れない。

1.jpg
ケンウッド・ハウス

ひょっとすると、素通りしてしまい、気付かなかっただけなのだろうか?
だとしたら、フェルメールの絵画はそんなにアウラのないものなのであろうか?
そんなわけはないであろう。じゃあ、何だ?今はどこかに貸し出しているのではないだろうか?
それは可能性としては十分考えられることであろう。
もしかして、また盗まれたとか?そりゃ多分ないであろう。
あ。トイレットに行きたくなってきた。

便意をもよおした私はトイレットが設えられている地下へ向かった。
トイレットに向かう階段の中途の壁にフェルメールの「ギターを弾く女」のポスターがあった。
あ。これだよ。これ。この作品が観たいんだよ。だけど、ポスターを見たってしょうもないでしょう。
ケンウッド・ハウスに来てフェルメールのポスターを見て終了というのはあまりに阿呆である。
用をたした私は決意を新たに再度展示室を巡回。「ギターを弾く女」を捜索することにした。

2.jpg
ケンウッド・ハウス正面

「ギターを弾く女」はレンブラントやフランス・ハルスの作品などと同じ部屋に展示されているという。
そういえば私はここケンウッド・ハウスでレンブラントもハルスもまだ観ていないではないか。
ひょっとすると、素通りしてしまい、気付かなかっただけなのだろうか?
そんなわけはないであろう。じゃあ、何だ?今はどこかに貸し出しているのではないだろうか?
もしかして、また盗まれたとか?そりゃ多分ないであろう。
あ。奥のほうに薄暗い展示室がある!

いちばん奥の展示室であった。単純に私が見落としていた展示室である。
そこにレンブラント、ハルス、そしてもちろんフェルメールの「ギターを弾く女」は展示されていた。
やはり、この展示室がケンウッド・ハウスでいちばんアウラをはなっている。
ここに来て素通りすることは絶対ないであろう。
レンブラントの自画像は晩年のもので、パレットと筆を右手に持ちこっちを見ている。
もうだいぶ生活が苦しい頃の作品で眼は寂しげだけれど、堂々としているようにも見える。

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レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)作「パレットと絵筆をもつ自画像」

一方、ハルスの作品はにこやかな顔のおっさんがこっちを見ている人物画。表情がいいですね。
私はハルスの絵は好きである。筆遣いは精緻ではないのに、人物の性格が伝わってくる。
ハルス作品と対峙していると、その絵画中の人物と会話ができるような気がしてしまうのだ。
そんなわけで、いつも取材先でハルスの作品を見つけると、ぢっと観てしまう。
さらにポストカードがショップで売られている場合には購入してしまうのである。今回ももちろん。

4.jpg
フランス・ハルス(1580頃-1666)作「Pieter van den Broecke の肖像」

さて、いよいよフェルメールの「ギターを弾く女」とのご対面である。
皆さん見てください。今私のいるこの展示室。鑑賞している人は私を含めて5人程度です。
そこに、特別扱いなどされず、当たり前のように他作品と並んでフェルメールがあるのです。
そのフェルメールの前に私がひとりで立って、ぢっと鑑賞することができるこの幸せ。
昨年の「フェルメール展」は満員電車のようだったからな。じゃ、続きは次回で。


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TaekoLovesParis

ハイゲート墓地記事にnice忘れてました。あとでゆっくり読んでコメントします。
by TaekoLovesParis (2009-01-24 13:05) 

TaekoLovesParis

最後の部屋が本命だったんですね。フェルメールだけでなく、レンブラントもハルツも。りんこうさんが、フランツハルスのことをお好きなのは知ってますよ~。このブログに何回も登場してますね。おかげさまで私にもハルスが近い存在になってきました。
アウラ、確かにこのほうが、オーラより原語に音が近いですね。

海外に美術館のいい所は、名画を人があまりいない部屋で見れる、ということですね。日本では満員電車、ほんとそうですね。


by TaekoLovesParis (2009-01-25 23:30) 

いっぷく

ここの庭のレストランなんかは天気のいい日には気持ちがいいので息抜きに行きます。
緑が多いので、よく虫が飛んで来ますが。
by いっぷく (2009-01-30 07:14) 

りんこう

Taeko さん。こんばんは!
ハルスはいいですよね。Taeko さんもお好きですか?
ハルスはオランダの人なんで、お墓もオランダのようです。
海外の美術館で大混雑だったという経験はないです。
少なくとも、満員電車ではないですからね。じっくり観られるのはうれしいですね。

いっぷくさん。こんばんは!
虫が飛んできますか。たしかに暖かい時だと飛んできそうです。
冬だったので、寒さに耐えながらケンウッド・ハウスを目指しました。
でも、ハムステッド・ヒースの地面がぬかるんでいるのにはやられました…。
by りんこう (2009-02-03 22:59) 

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