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「キング・コング」の想い出 [映画]

ピーター・ジャクソン監督の最新作、「キング・コング」が公開された。
私は23日に鑑賞する予定なので、内容についてはまだわからない。

しかし、私は「キング・コング」に既に想い出がある。
1933年版の「キング・コング」でもなければ1976年版の「キング・コング」でもない。
正真正銘、2005年版の「キング・コング」に想い出がある。

実はこのようなものがあるのだ。

エイドリアン・ブロディのサイン(見えにくいが)。

「キング・コング」にはエイドリアン・ブロディが出演している。
エイドリアン・ブロディと言えば「戦場のピアニスト」で一躍メジャーな存在となった俳優である。

「戦場のピアニスト」の演技でブロディは見事アカデミー賞主演男優賞を受賞した。
この年、他に主演男優賞にノミネートされたのは
ニコラス・ケイジ、ジャック・ニコルソン、ダニエル・デイ・ルイス、マイケル・ケインと強敵ぞろい。
プレゼンターのハル・ベリーがブロディの名を読み上げると、
ブロディは自分でも信じられないといったような表情をして壇上へ。
そして、ハル・ベリーに熱い接吻をしたのであった。ハル・ベリーは困惑気味であった。

が、スピーチ終了を促すファンファーレを遮ってのブロディの受賞スピーチは感動的なものだった。
イラク攻撃の只中ということ、そして「戦場のピアニスト」という作品に出演したこと、
ブロディのスピーチは自然と平和を訴えるものとなった。
最後は涙ながらに友達がイラクに派遣されていることを明かし、
早く無事に帰ってきてほしいと懇願したのであった。
近年のアカデミー賞受賞スピーチの中でも、印象的なスピーチのひとつである。

感動した私はその想いを手紙にしたため、ブロディにぶつけてみた。
「戦場のピアニスト」のチラシを同封して。
数ヵ月後、返信があった。ブロディはチラシにサインをして返信してくれたのであった。
それが上に掲載したものである。

さて、このチラシが封入されていた封筒を見ると、ニュージーランドの切手が貼られていた。
私はアメリカに手紙を出したのに、ニュージーランドから返ってきたのだ。
これは、どういうことなのだろうか?

あとで調べてみてわかった。「キング・コング」はニュージーランドでロケされていたのである。
つまり、このサインは「キング・コング」ロケ中にされた可能性が高い。

このような返信があっても、スター本人がサインをしている確証は何も無い。
でも、「キング・コング」がニュージーランドでロケされたという事実は、
このサインがブロディ本人のものであるというリアリティーを高める効果をもたらしたのであって、
これって、なんだか嬉しいじゃん。と思ったのであった。


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ブロードウェイのダニー・ローズ [映画]

私はウディ・アレン監督の映画がどうしようもなく好きなのだが、
最近そのアレンがあるインタビューに答えていた記事を目にした。
そこでアレンは、「自分の作品はどうしようもない駄作ばかり」といった趣旨の発言をしていたのだ。
何とも、悲観的なもののみかたをするアレンらしい発言であるが、
そんなアレンが自分でも出来が良いと感じる作品として以下の3作品を挙げていた。

・「カイロの紫のバラ」(1985)
・「夫たち、妻たち」(1992)
・「Match Point」(2005)

最新作「Match Point」を挙げているあたり、ちゃっかりしている。
さて、私が好きなアレン映画を3本挙げるとしたらどうなるだろう。と選んでみたらこうなった。

・「マンハッタン」(1979)
・「スターダスト・メモリー」(1980)
・「ブロードウェイのダニー・ローズ」(1984)

今の気分だと、この3本だろうか。これは面白いことだなあ。みんなモノクロの映画になった。
この内、「マンハッタン」は不動である。もちろんDVDも所有している。
そういや、この間「マンハッタン」のDVDが900円くらいで売られているのを見た。ショックだった。
発売当初は4000円近くしたはずなのに。いつの間にそんな低価格になっていたのだ。
一方、「スターダスト・メモリー」と「ブロードウェイのダニー・ローズ」は未だDVD化されていない。

「スターダスト・メモリー」はアレン版「8 1/2」とよく言われる作品で少々難解であるが、
「ブロードウェイのダニー・ローズ」は愉快なドタバタ人情話。
アレン作品が苦手な方でも比較的親しみやすいだろうと思われる。

アレン演じるのは三流芸人のマネージャー、ダニー・ローズである。
例によってダニーは落ち目の歌手ルー・カノーバのマネージメントを引き受けることになったが、
ルー・カノーバはティナという女性に熱を上げており、ダニーは恋の橋渡しをする羽目になる。
が、マフィアのボスもティナに夢中なのであった。
ティナを捉まえにやってきたダニーは、マフィアのパーティーに潜入してしまうのだ。
かくして、ダニーとティナの珍道中が始まり、そのうち2人の間に恋心が芽生えるのだが…。

アレン作品はほろ苦い終わり方をするものが少なくない。
「ブロードウェイのダニー・ローズ」はほろ苦いことに違いはないが、一味違うほろ苦さなのである。
その「一味違うほろ苦さ」がどこから由来するものなのか、旨く説明できずにもどかしいのだが。
ここには、全ての登場人物の機微を理解しようと試み、彼らに優しく愛情を注ぐアレンがいるのだ。
数あるアレン作品の中でも、とりわけ「粋」な作品なのではないだろうか。

この映画、深夜に放映されたのをビデオに録画してあるのだが、
その「一味違うほろ苦さ」に惹かれて、たまに観てしまうのだ。
観終わると、ありふれた詰まらない表現になってしまうけれども「あったかい」気持ちになれる。
DVD化を強く望む作品なのである。


「ブロードウェイのダニー・ローズ」映画チラシ。


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ロバート・アルトマン監督に名誉賞 [映画]

米映画芸術科学アカデミーは、3月に行われる第78回アカデミー賞授賞式で、
ロバート・アルトマン監督に特別名誉賞を授与することを決定したそうだ。
名誉賞は残念賞の意味合いが強いと思われる。
過去3年間のアカデミー賞における名誉賞受賞者を列挙してみる。

2004年 シドニー・ルメット監督
2003年 ブレイク・エドワーズ監督
2002年 ピーター・オトゥール

シドニー・ルメット監督は5回オスカーにノミネートされたものの、すべて受賞は逃した。
ブレイク・エドワーズ監督は脚本賞に1回ノミネートされたが、受賞は逃した。
ピーター・オトゥールにいたっては、7回主演男優賞にノミネートされるもすべて受賞を逃す不運。

これらの人物に名誉賞を与えるというのは、罪滅ぼしという側面もあるのだろう。
ロバート・アルトマン監督はどうであったかというと、過去5回監督賞にノミネートされたものの、
やはり、すべて受賞は逃したのであった。

いちばん最近のノミネートが2001年の「ゴスフォード・パーク」でのノミネートで、
受賞を逃したアルトマン監督がたいそう不満そうな顔をしているのをカメラはしかと捉えていた。
そしてその傍らにいたのが、同じく受賞を逃したデヴィッド・リンチ監督であったが、
リンチ監督は笑顔でアルトマン監督を宥めていたように見えた。

アルトマン監督もリンチ監督も、ともにアンチ・ハリウッド的な作風であるといわれるが、
このとき監督賞を受賞したのが、最もハリウッド的なロン・ハワード監督だった。
これはアカデミー賞の傾向というものをよくあらわしている受賞結果となったように思えた。
アルトマン監督は頑固そうなんで、おとなしく名誉賞を受け取る姿がどうも想像できないのだが、
授賞式において、どのようなスピーチをするのか気になるところである。


1975年監督賞ノミネートの「ナッシュビル」映画チラシ。

昨年8月にアルトマン監督のサインが届いた記事を載せています。
http://blog.so-net.ne.jp/rinkou/archive/20050821


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