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ブロードウェイのダニー・ローズ [映画]

私はウディ・アレン監督の映画がどうしようもなく好きなのだが、
最近そのアレンがあるインタビューに答えていた記事を目にした。
そこでアレンは、「自分の作品はどうしようもない駄作ばかり」といった趣旨の発言をしていたのだ。
何とも、悲観的なもののみかたをするアレンらしい発言であるが、
そんなアレンが自分でも出来が良いと感じる作品として以下の3作品を挙げていた。

・「カイロの紫のバラ」(1985)
・「夫たち、妻たち」(1992)
・「Match Point」(2005)

最新作「Match Point」を挙げているあたり、ちゃっかりしている。
さて、私が好きなアレン映画を3本挙げるとしたらどうなるだろう。と選んでみたらこうなった。

・「マンハッタン」(1979)
・「スターダスト・メモリー」(1980)
・「ブロードウェイのダニー・ローズ」(1984)

今の気分だと、この3本だろうか。これは面白いことだなあ。みんなモノクロの映画になった。
この内、「マンハッタン」は不動である。もちろんDVDも所有している。
そういや、この間「マンハッタン」のDVDが900円くらいで売られているのを見た。ショックだった。
発売当初は4000円近くしたはずなのに。いつの間にそんな低価格になっていたのだ。
一方、「スターダスト・メモリー」と「ブロードウェイのダニー・ローズ」は未だDVD化されていない。

「スターダスト・メモリー」はアレン版「8 1/2」とよく言われる作品で少々難解であるが、
「ブロードウェイのダニー・ローズ」は愉快なドタバタ人情話。
アレン作品が苦手な方でも比較的親しみやすいだろうと思われる。

アレン演じるのは三流芸人のマネージャー、ダニー・ローズである。
例によってダニーは落ち目の歌手ルー・カノーバのマネージメントを引き受けることになったが、
ルー・カノーバはティナという女性に熱を上げており、ダニーは恋の橋渡しをする羽目になる。
が、マフィアのボスもティナに夢中なのであった。
ティナを捉まえにやってきたダニーは、マフィアのパーティーに潜入してしまうのだ。
かくして、ダニーとティナの珍道中が始まり、そのうち2人の間に恋心が芽生えるのだが…。

アレン作品はほろ苦い終わり方をするものが少なくない。
「ブロードウェイのダニー・ローズ」はほろ苦いことに違いはないが、一味違うほろ苦さなのである。
その「一味違うほろ苦さ」がどこから由来するものなのか、旨く説明できずにもどかしいのだが。
ここには、全ての登場人物の機微を理解しようと試み、彼らに優しく愛情を注ぐアレンがいるのだ。
数あるアレン作品の中でも、とりわけ「粋」な作品なのではないだろうか。

この映画、深夜に放映されたのをビデオに録画してあるのだが、
その「一味違うほろ苦さ」に惹かれて、たまに観てしまうのだ。
観終わると、ありふれた詰まらない表現になってしまうけれども「あったかい」気持ちになれる。
DVD化を強く望む作品なのである。


「ブロードウェイのダニー・ローズ」映画チラシ。


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TaekoLovesParis

ウッディ・アレン映画は独特の雰囲気がありますね。
私が記憶に残っているのは、一番最近見た「誘惑のアフロディテ」ミラ・ソルビーノのぶん。マンハッタンはマーゴ・ヘミングウェイが大きくてウッディアレンと並ぶとずいぶん違いましたよね。「ハンナとその姉妹」も私はよかった。彼は一生懸命喋る、相手は「ふんふん」と聞いているだけっていうシチュエーションが多いですよね。彼は人間が好きでいつも善意、でもそれが空回り、それは大都会NYだからなのかなって思ったり。それがりんこうさんの一味違うほろ苦さに通じるのかもしれませんね。
by TaekoLovesParis (2005-12-24 00:26) 

りんこう

ウディ・アレンは多作なんで、かなりの本数を観ているはずなのですが、
「誘惑のアフロディーテ」は不覚にも未見なのであります…。
「ハンナとその姉妹」は僕も大好きな映画です!
あれは、マイケル・ケインがとてもいいんですよね。
苦悩したウディが映画館でマルクス・ブラザーズの映画を観るシーン。
あれにウディの言いたいことが集約されていると思いますね。
by りんこう (2005-12-24 01:23) 

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