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第78回アカデミー賞ノミネーション [映画]

第78回アカデミー賞のノミネートが発表になった。
主要部門は以下の通りであった。

作品賞
・ブロークバック・マウンテン
・カポーティ
・クラッシュ
・グッドナイト&グッドラック
・ミュンヘン

監督賞
・ジョージ・クルーニー(グッドナイト&グッドラック)
・ポール・ハギス(クラッシュ)
・アン・リー(ブロークバック・マウンテン)
・ベネット・ミラー(カポーティ)
・スティーヴン・スピルバーグ(ミュンヘン)

主演男優賞
・フィリップ・シーモア・ホフマン(カポーティ)
・テレンス・ハワード(Hustle & Flow)
・ヒース・レジャー(ブロークバック・マウンテン)
・ホアキン・フェニックス(ウォーク・ザ・ライン 君につづく道)
・デヴィッド・ストラザーン(グッドナイト&グッドラック)

主演女優賞
・ジュディ・デンチ(Mrs. Henderson Presents)
・フェリシティ・ハフマン(Transamerica)
・キーラ・ナイトレイ(プライドと偏見)
・シャーリーズ・セロン(スタンドアップ)
・リース・ウィザースプーン(ウォーク・ザ・ライン 君につづく道)

助演男優賞
・ジョージ・クルーニー(シリアナ)
・マット・ディロン(クラッシュ)
・ポール・ジャマッティ(シンデレラマン)
・ジェイク・ギレンホール(ブロークバック・マウンテン)
・ウィリアム・ハート(ヒストリー・オブ・バイオレンス)

助演女優賞
・エイミー・アダムス(Junebug)
・キャサリン・キーナー(カポーティ)
・フランシス・マクドーマンド(スタンドアップ)
・レイチェル・ワイズ(The Constant Gardener)
・ミシェル・ウィリアムス(ブロークバック・マウンテン)

私はウディ・アレンの映画が好きなのだが、最新作「Match Point」の評判はかなりのもので、
もしや、「ブロードウェイと銃弾」(1994)以来の監督賞ノミネートなるかと期待していたのだけれど、
それは叶わなかった…。
だが、「Match Point」は脚本賞にはノミネートされている。
これはウディにとって実に14回目の脚本賞のノミネート。もちろん歴代1位である。
もし、この作品でウディが監督賞にもノミネートされていたとしたら、
ウディは4つのディケイドで監督賞の候補になった人物になるのだった。

1970年代は「アニー・ホール」、「インテリア」。
80年代は「ブロードウェイのダニー・ローズ」、「ハンナとその姉妹」、「ウディ・アレンの重罪と軽罪」。
90年代は「ブロードウェイと銃弾」。
しかし、2000年代はまだ監督賞候補になっていないのである。
ま、当のウディ本人はアカデミー賞になんぞ関心無いのであろうが。

が、4つのディケイドで監督賞候補になった監督が今回誕生したのだった。
それは、皆さんご存知スティーブン・スピルバーグ監督である。

1970年代は「未知との遭遇」。
80年代は「レイダース/失われたアーク<<聖櫃>>」、「E.T.」。
90年代は「シンドラーのリスト」、「プライベート・ライアン」。
そして、2000年代は「ミュンヘン」。

私は過去に4つにディケイドで監督賞候補になった監督がいたかどうか調べようと思ったが、
この調査は難儀なことであった。
目星を付けて調べてみたが、4つのディケイドで監督賞候補になっている人物は既にいたのだった。

それは、ウィリアム・ワイラー監督(1930年代から60年代にかけて実に12回監督賞候補に)、
ジョージ・キューカー監督(1930年代から60年代にかけて5回監督賞候補に)、
フレッド・ジンネマン監督(1940年代から70年代にかけて7回監督賞候補に)、
デヴィッド・リーン監督(1940年代から60年代にかけて6回候補に、また、80年代に1回候補に)。
多分、この4人のみであろうと思われる。

みな名だたる名監督たちである。
これがどのくらい凄いことなのか、それはオリコンチャートを想像していただければわかりやすい。
中島みゆきは1970年代に「わかれうた」でオリコン1位に、
1980年代には「悪女」でオリコン1位に、
1990年代では「空と君のあいだに」、「旅人のうた」でオリコン1位、
2000年代では、かの有名な「地上の星」でオリコン1位に。
何と中島みゆきは4つのディケイドでオリコン1位を獲得しているのである。
つまり、スピルバーグは中島みゆきと同じくらい凄いのであった。

まあ、スピルバーグ監督ならばこのような大記録も、さもありなんといった感じである。
スピルバーグ監督は「まだ」59歳だ。5つ、6つのディケイドで候補になる可能性は大いにある。
これからスピルバーグ監督はどのよう作品を提供してくれるのだろうか。楽しみにしたい。

もちろん、アカデミー賞がすべてというわけではない。
アカデミー賞はあくまでもひとつの指標に過ぎないとは思う。
それでも、このようにして記録を追うことはなかなかに興味深いことである。
このような記録を追うことは結構楽しいし、受賞者予想するのも、結構楽しい。
そんな第78回アカデミー賞受賞者予想は、数日内に発表いたします…。


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レマゲン鉄橋 [映画]

数日前に映画の邦題について載せたのだけれども、
私にとって映画の邦題ということで想い出されるのは水野晴郎という人で、
この人は昔は「金曜ロードショー」で映画解説をしている人であったのだけれども、
現在では監督として「シベリア超特急」シリーズを撮り、カルト的な人気を得ている人なのである。

かくいう私も「シベ超」シリーズは好きなのであるが、
最高なのは一番最初の「シベリア超特急」である。
現在ではパート「6」まで製作していると聞いたが、「1」は超えられまい。「1」こそ最高である。
「1」こそ天然の素晴らしさがあった。「シベ超」は「1」さえ観れば十分であると言ってもよい。
まあ、「1」を観てしまうとあまりに酷いので「2」以降も観たくなってしまうのだが…。厄介である。

さて、水野晴郎という人は映画解説の前には何をやっていたのかというと、
映画配給会社に所属し、数々の邦題を考案していた過去があったのである。

例えば、
「Midnight Cowboy」 → 「真夜中のカーボーイ」
「The Longest Day」 → 「史上最大の作戦」
「A Hard Day's Night」 → 「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」
「Mississippi Mermaid」 → 「暗くなるまでこの恋を」
「The Graduate」 → 「卒業」
「For a Few Dollars More」 → 「夕陽のガンマン」
「The Thomas Crown Affair」 → 「華麗なる賭け」
「Chitty Chitty Bang Bang」 → 「チキ・チキ・バン・バン」
「From Russia with Love」 → 「007/危機一発」

これらはすべて水野氏考案の邦題である。
「真夜中のカーボーイ」は本当なら「真夜中のカウボーイ」となるはずだし、
「チキ・チキ・バン・バン」も原題通りなら「チティ・チティ・バン・バン」である。
「007/危機一発」の「発」の字も「髪」とするのが正しいはずである。
が、これらは水野氏が間違えたわけではなく、故意にこのような邦題を付けたのだと言われている。

「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」というのも物凄いが、
これはビートルズの初期の曲に頻繁に登場する「Yeah!Yeah!Yeah!」というフレーズを、
水野氏が「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」と訳し、そのまま邦題としてしまったものだそうである。
「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」とはダチョウ倶楽部を彷彿としてしまうこともないではないが、
(ダチョウ倶楽部が「ヤァー!」とやるのも最近は観たことないけれど…)
これは当時のビートルズに対する胸騒ぎが伝わってくるようでなかなかよい邦題だと私は思う。

そんな水野氏が考案した邦題で「レマゲン鉄橋」というのもある。
原題は「The Bridge at Remagen」でこの「The Bridge」を「鉄橋」としたのである。
確かにただ「橋」と訳すより「鉄橋」としたほうが戦争映画としてのイメージをより強く想起でき、
これもなかなかにうまい邦題ではなかろうかと思うのである。
ただし、私は「レマゲン鉄橋」に関しては未見なのであった。

昨年、私がドイツを鉄道で旅している際、この「レマゲン」というところを通過した。
これには俄かに驚いてしまった。
旧西ドイツの首都ボンから古代ローマの遺跡が数多く残るトリアーに移動する途中のことであった。


レマゲンの駅。
「レマゲン鉄橋」は多分ここに架かる鉄橋のお話なのであろう。

レマゲン鉄橋

レマゲン鉄橋

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2005/04/08
  • メディア: DVD


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第78回アカデミー賞結果 [映画]

第78回アカデミー賞を観た。
今回は簡単に結果と感想を記すことにする。

作品賞:「クラッシュ」
監督賞:アン・リー
主演男優賞:フィリップ・シーモア・ホフマン
主演女優賞:リース・ウィザースプーン
助演男優賞:ジョージ・クルーニー
助演女優賞:レイチェル・ワイズ

というわけで、あらためて私の予想を見ると、作品賞と助演男優賞をはずしたことがわかる。
ジョージ・クルーニーの受賞は、ああやっぱりそうだったのかあという感じで、
驚きはしなかったし、ジョージ・クルーニーはカッコよいなあと思いましたよ。
ジョージ・クルーニーの監督作「グッドナイト・グッドラック」は1部門も受賞できなかったけれども、
クルーニー自身が演技部門で受賞したのでバランスはとれたのかも知れない。

アン・リー監督も受賞した。台湾は大騒ぎのようだけれども、それもそうだろう。大快挙である。
ただし、アン・リー監督の「ブロークバック・マウンテン」は作品賞を受賞できなかった。
作品賞は「クラッシュ」であった。これには驚いた。
サプライズが作品賞で起きるとは。
作品賞のプレゼンターはジャック・ニコルソンであったが、
ニコルソンはおどけた口調で作品賞候補を読み上げていたので、
受賞作品が「クラッシュ」であるとニコルソンが発表した時も「ウソー!」と思ってしまったのだ。

「ブロークバック・マウンテン」のゲイという題材にアカデミーが拒否反応を示したということなのか。
それはどうか分からぬが、アカデミーがゲイという題材をそれほど拒絶しているとも私は思えない。
作品賞でこそゲイを題材とする映画が受賞することはかつてなかったけれども、
他のカテゴリーではゲイを題材としている映画が受賞することはこれまであったからである。
「クラッシュ」がそれだけ素晴らしい作品だったのであろうと私は思いたい。

が、作品賞と監督賞が違う作品になってしまうというのはよろしくないのではないか。
近年このような受賞の傾向が散見されるのだ。このように。

第75回(2002年)作品賞「シカゴ」、監督賞:ロマン・ポランスキー(戦場のピアニスト)
第73回(2000年)作品賞「グラディエーター」、監督賞:スティーブン・スダーバーグ(トラフィック)
第71回(1998年)作品賞「恋におちたシェイクスピア」、監督賞:スティーブン・スピルバーグ
                                           (プライベート・ライアン)

作品が優れているのに監督が受賞できないというのはどういうことなのか。
監督が優れているのに作品が受賞できないというのはどういうことなのか。
そんなことを考えてしまったのだが、ミシェル・ウィリアムスは可愛いと思いました…。


第78回(2005年)作品賞受賞作品「クラッシュ」


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