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リヒャルト・シュトラウスに会いに行った。 [お墓]

2010年4月30日(金)、現地時間 午前9時27分、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン駅

駅のホームから
ガルミッシュ=パルテンキルヒェン駅のホームから

ガルミッシュ=パルテンキルヒェンという町は人口3万人ほどの小さな町。
ガルミッシュという町とパルテンキルヒェンという町が合併したからこんな長い名前になった。
小さな町ではあるが、1936年には冬季五輪が開催されたウィンター・スポーツの盛んな町である。
リヒャルト・シュトラウスがこの町で亡くなったのは1948年の9月8日のこと。
その葬儀に際しては、墓前で「ばらの騎士」の第3幕の三重唱が演奏されたという。
アルプスに響く三重唱。どんな音色だったのだろう。想いを馳せ、これから私はその墓地へ向かう。

ガルミッシュの町並み①
ガルミッシュの町並み①

墓地はガルミッシュ=パルテンキルヒェンのガルミッシュ側、つまり町の西側に位置する。
駅から墓地まではちょっと歩く。でも、この魅力的な町の中を歩いていれば、全く苦にはならない。
壁にフレスコが描かれた建物が数多くあり、まるでおとぎの国に来たような印象を受ける。
目抜き通りは規制をしているのだろうか。自動車は通行しておらず、自転車で移動する人が多い。
そのせいもあってか、心なしか空気がおいしく感じられる。ここはいい町である。気に入りました。
この町に3時間だけの滞在とはもったいなかった…。余裕があればここで1泊してもよかったな…。

ガルミッシュの町並み②
ガルミッシュの町並み②

その目抜き通りを抜け、私は明らかに町の中心から外れ、今度は北に進路をとる。
どうしてこんなに順調に墓地に向かって歩いて行けるかというと、
渡航前にgoogleで検索して、墓地に至るまでの地図をプリントアウトしているからなのである。
この地図さえあれば、よほどのことがない限り迷わないのであるが、
私はいよいよ何にもないようなところを歩き始めており、これは少々不安に駆られた。
振り返ればツークシュピッツェ山。前方にも名前がわからぬ山がある。私はひとり歩いてゆく…。

墓地へ向かう道
墓地へ向かう道

墓地に到着
墓地に到着

四方を山で囲まれたその美しい墓地に辿り着いたのは、駅を出てから20分ほど経った頃だった。
今度はリヒャルト・シュトラウスの墓石をこの墓地の中から探し出さねばならないのであるが、
これもだいたいの場所を渡航前に予め調べておいたので、迷うことはなかった。
ここにいるのは、わずかな時間。事前に調べておかないと効率よく取材することはできないのだ…。
そのリヒャルト・シュトラウスのお墓であるが、墓地の一番左側の石垣沿いにある。
石垣沿いの墓石をひとつひとつ確認してゆけば、割と簡単に見つけることができるだろう。

リヒャルト・シュトラウスのお墓
リヒャルト・ゲオルク・シュトラウス (1864~1949) のお墓

シュトラウス一家の墓前にはパンジーがきれいに植わっていて、墓のすぐ背後には山が聳えていた。
私の頭の中では「ツゥラトゥストラはかく語りき」の導入部が自然と再生される。
そして、猿が骨を放り投げる映像が…。ああ…。「2001年宇宙の旅」がどうしても浮かんでくる…。
ここでは、やはり「アルプス交響曲」を聴こうではないか。私はipod を取り出した。
墓前で「アルプス交響曲」の一部を聴いていると、猿の映像は次第に消えていった…。
「4つの最後の歌」も想い出される。私は本当に感無量で墓の前からなかなか立ち去れなかった。

素晴らしい景色これは何?
(左)リヒャルト・シュトラウスは素晴らしいところで眠っている
(右)これは何?

墓参を終え、この町の滞在時間も2時間を切ってしまった。
リヒャルト・シュトラウスさんとのお別れは本当に名残惜しいが、時間も限られている。
その限られた時間で、今度はここガルミッシュからパルテンキルヒェン側に行ってみようと思う。
パルテンキルヒェンにはリヒャルト・シュトラウス・インスティテュートという施設があるそうだ。
そこでは、リヒャルト・シュトラウスに関するちょっとした展示をしているらしいのである。
それでは皆さん。次回、リヒャルト・シュトラウス・インスティテュートでお会いしましょう。

クアパーク
墓地へ向かう途中にあった「ミヒャエル・エンデ クアパーク」という施設
※ミヒャエル・エンデはここガルミッシュ=パルテンキルヒェン出身
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コメント 10

nyankome

本当に素敵なところで眠っているのですね。
久しぶりに彼の音楽が聴きたくなりました。
こんなところで聴けたら最高でしょうね。
日本と空気が違いますから。
by nyankome (2010-07-10 15:24) 

りんこう

nyankome さん、こんにちは!
空気も違いますし、空の色も日本で見るのとは違う青のような気がします。
本当にいい天気に恵まれて、最高の墓参となりました。

heitan さん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-07-10 18:04) 

ぷーちゃん

写真からでも、澄んだ空気感が
伝わります。
ツゥラトゥストラ・・・、ひさびさに
「2001年宇宙の旅」を見たくなりました。
by ぷーちゃん (2010-07-10 19:03) 

orange

風景を眺めているとその曲が生まれた理由のようなものが
わかりますね。
Salzkammergutで湖を眺めている時、モーツアルトの
ホルン協奏曲が自然に頭の中に浮かびました。
崇高な透き通るような音色。伸びのよい管楽器の響き。
りんこうさんの体験、お察しします。
青色、違いますね。写真を写すと一目瞭然です。
湿度と紫外線の違いだろうと勝手に思っていますが。
Kurparkも気になりますが。
by orange (2010-07-10 19:37) 

Inatimy

墓地に向かう途中、「何もないような・・・」のくだりを読んで、
あ、また猿が出てきたりするのかな、なんて、
ユーラシア大陸最南端の旅を思いだしちゃいました。
猿は別の話題で登場ですね。
ふふ、墓地からの帰り道、バイクに乗った青年、いませんでした?
by Inatimy (2010-07-11 03:45) 

pistacci

美しい山々ですね。お墓を前にして曲を聴く・・・素敵です。
何よりのお参りの方法ですね。
・・・やっとりんこうさんのところへご訪問できました。
by pistacci (2010-07-11 21:36) 

mami

R.シュトラウスってこんなのどかなところに眠っているんですね。知りませんでした。なんとなく、ウィーンとかベルリンとか都会の人かと...。
by mami (2010-07-12 01:08) 

miffy

ご訪問&niceありがとうございました
ガルミッシュ・パルテンキルヒェンに行ったのは遥か昔です。
美しい町ですよね。
by miffy (2010-07-13 21:14) 

りんこう

ぷーちゃんさん、こんばんは!
やっぱりツゥラトゥストラの印象が強いですよね。
あの使われ方は、その後の映画音楽に大きな影響を与えたと思います。
ただ、曲だけを純粋に聴くことができなくなってしまいましたね。
聴いていると、どうしても猿や宇宙船が出てきてしまうのです…。

orange さん、こんばんは!
その曲のゆかりの地を訪れ、実際に曲を聴いてみる。
おそらく作曲家が見ていたであろうその景色を見ながら…。
やっぱり、自宅で聴いているのとは、違って聴こえる気がします…。
クアパークは時間がなくて、行きませんでした…。

Inatimy さん、こんばんは!
ああ、ユーラシア大陸最南端の旅ですね…。あれは大変でした…。
あれに比べると、今回の取材はまだ安心でしたよ。
ここは町でお店もいっぱいありましたからね…。

pistacci さん、こんばんは!
パソコンの具合はいかがでしょうか?
僕もブログが重いので、記事載せるのに結構苦労してます。
まだまだ取材は続きます。がんばって記事を載せたいと思います!

mami さん、こんばんは!
リヒャルト・シュトラウスはミュンヒェン生まれですが、
後半生はこの小さな町で過ごしたそうです。
シュトラウスが住んでいた別荘も残っているようですが、
時間がなくて行きませんでした…。

miffy さん、はじめまして!
miffy さんも訪れたのですね。きれいな街ですよね。
僕も記事を載せながら、もうちょっと滞在できればよかった…。
と、そればかり思っています。

ritton2 さん、桔梗之介さん、Mineosaurus さん、dorobouhige さん、塩さん、
kakasisannpo さん、ほりけんさん、dora さん、nougyoujin さん、
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フェイリンさん、板谷薫さん、whitered さん、plot さん、マンチ軍団さん、
miyoko さん、らいち。さん、いっぷくさん、rino さん、江州石亭さん、
aranjues さん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-07-13 22:21) 

りんこう

miffy さん、Mimosa さん、girasole さん、nice! ありがとうございます!
by りんこう (2010-07-18 10:24) 

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