アンリ・マティスに会いに行った。

確か一昨年に「マティス展」というのが開催され、私はこれを観にいったのである。
初期の油絵から晩年の切り絵まで、私は十分に楽しんだのだけれども、
印象的なのは切り絵の「ジャズ」の連作であった。
「ジャズ」とは言い得て妙で、確かに「切り絵」の即興性はジャズと通じるようにも思うのである。
マティスの切り絵を観ていると、トランペットの咆哮が聴こえてくるようなのだった。

マティスは何故に「切り絵」という手法を用いたのかというと、
それは、「紙切り」の林家正楽師匠に心酔していたからではなく、
健康上の理由で絵筆を持つことが困難になったからだと記憶しているが、
むしろ、「切り絵」という手法は色彩の構成の独創性をマティスに与えたようである。
これらの「切り絵」は南仏のニースにおいて作成されたというが、
確かに、パリよりも地中海の温暖な気候の下で生み出されそうな作品群だと勝手に思ったりした。

このように「切り絵」で色彩の可能性を追求し続けたマティスであるが、
そのマティス晩年の最高傑作と言われるのがロザリオ礼拝堂である。
ロザリオ礼拝堂は南仏ヴァンスにあるのだが、私はここを訪れたことは無い。
ただ、ニースのマティス美術館は訪れたことがあり、
ここにはロザリオ礼拝堂制作のためのデッサン、模型などが展示されているのだった。

ニース、マティス美術館の日本語小冊子。

さて、もしニースのマティス美術館を訪れる機会があるのだったら、
すぐそばにあるシミエ修道院を訪ねれてみては如何だろうか。
アンリ・マティスに会うことが出来るからである。

シミエ修道院

修道院敷地内には、このような看板が複数設置されており、迷うことは無い。ありがたいなあ。

アンリ・マティス (1869-1954) のお墓。
シミエ修道院には、やはり画家のラウル・デュフィ (1877-1953) のお墓もある。

マティス美術館前ではおっさんたちがペタンクに興じていた。

コメント 6

マティスは好きな作家なので、タイトルを見てわくわくしてしまいました。
私もニースのマティス美術館へ行ったとき、この礼拝堂の前を通り過ぎ、ペタンクに興じる人たちを見ました。
でもお墓があるとは知らなかったので、、、いつか、もう一度行ってみたいです。りんこうさんのブログを愛読しているうちに私もお墓に敬意を払うように
なったのでしょうね。
by TaekoLovesParis (2006-04-05 07:09) 

Taeko さんもニースのマティス美術館訪れたんですね。
マティスのお墓は特別扱いといった感じで、一つだけ別のところにありました。
この修道院には小さな庭があって、そこから見る地中海はいい眺めでした。
ニースではシャガール美術館にも行きました。僕もまたニースに行きたいですね。
by りんこう (2006-04-05 22:40) 

りんこうさん、シャガール美術館もいいですよね。建物がいいし。
そうですか～修道院の庭から見る地中海、これも今度行く時の課題に。
by TaekoLovesParis (2006-04-05 23:32) 

こんにちは。
たびたびおじゃまします。（＾＾）
昨年、コート・ダ・ジュールの小さな美術館をめぐる旅に参加しました。
そのとき、このマティス美術館とロザリオ礼拝堂に行きました。
ヴァンスの礼拝堂はすばらしかったです。群青色と黄色のステンドグラスが
今も脳裏に焼きついています。
シャガール、ピカソ等色々な小さな美術館をめぐってきました。
シャガールのお墓にも行きました。
いい旅でした。また美術館巡りの旅をしたいと思います。
by coco030705 (2006-04-10 19:06) 

coco030705 さん、シャガールのお墓に行かれたのですか！
私の情報ではサンポールという村にシャガールのお墓はあるはずです。
シャガール美術館は閉館時間間近でじっくり鑑賞できなかったのですが、
聖書に題材をとった絵が12枚飾ってあって圧巻でした。
既にミュージアムグッズの片付けを始めていたのですが、
何とかポストカードを購入したのでした。
by りんこう (2006-04-10 21:29) 

りんこうさんへ
シャガールのお墓は、サンポール・ド・バンスという村にあります。
ここはフランスにたくさんある、鷹の巣村と呼ばれているもののひとつです。
山の上のほうに、石造りの村があります。とっても素敵なところです。
この村のはずれにシャガールのお墓がありました。ひっそりとしていました。
周りに紫色の花が生い茂っていてきれいでした。
シャガール美術館もよかったですね。私も絵葉書やアドレス帳などを買い込みました。
by coco030705 (2006-04-10 22:33)