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2007中欧3ヶ国の旅 ブログトップ
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触ると幸せになるもの [2007中欧3ヶ国の旅]

コンサート・ティケットをゲットした私は、ぶらぶらとカレル橋のたもとへ戻り、
今度こそカレル橋を渡り切る決意で歩みだした。
クラリネット、トランペット、バンジョー、コントラバスのカルテットが、
すっとぼけた旋律を奏でる中、私は感慨深く橋を歩いたのである。


再びカレル橋

カレル橋の左右欄干には聖人像が30体並んでいる。
誰がどんな聖人であるのか私は判らない。
ただ、一際人間が集っている像があり、それは恐らく聖ネポムツキーの像である。
私は不勉強にして、聖ネポムツキーが如何なる業績で聖人と呼ばれているのか、
それも具に知らない。


これは聖フランシスコ・ザヴィエル像。ザヴィエルを担いでいる人間は日本人のように見える。

が、聖ネポムツキーの最期というものは衝撃的なものである。
ヴルタヴァ川に投げ込まれて溺死したというのである。
聖ネポムツキー像の下部にあるレリーフにはその故事が刻されているのだった。
そして、このレリーフを撫で撫ですると幸せが訪れると伝承されている。


聖ネポムツキー像。レリーフは多くの人に触れられる。

世界にはこのように触ると幸せが訪れるという名所が数多く存在することであるなあ。
真っ先に想起したのが4年前に訪れたブリュッセルに在るセルクラースの像であった。
幾人に撫で撫でされたのか知れぬセルクラースの像がピッカピッカとなっていたことを想い出す。
佐川急便のトラックの飛脚の褌に触れると幸せになれるというのもある。
そういえば、近頃この飛脚のトラックは見かけないような気がする。


ブリュッセル、セルクラースの像(2003年撮影)

話が逸れてしまった。
ま。触るという点が重要で、「見るだけで幸せになれる」という物件はあまり聞かない。
それに対し、「触れば幸せになれる」というのは多く聞く。何故、触れなければならぬのか。
触れることにより、指先より得体の知れぬエネルギィが伝達されるというのだろうか。

そもそも、私はブリュッセルのセルクラースの像に触れたことで幸せな人間になったのだろうか。
そのような実感はまったく無いのであるが、
それでも、人ごみを掻き分け聖ネポムツキーのレリーフを撫で撫でしてしまった私なのだった。
人間の哀しい性である。

カレル橋を遂に渡り終えると、マクドナルドがあった。
嗚呼。このマクドナルド、憶えているよ。
5年前、このマクドナルドの手前の地点まで私は来ていたのだ。
しかし、その先は大洪水のためロープが張られていた。


マクドナルド前(左・2002年撮影、右・2007年撮影)

ついに、5年かかってカレル橋を通過した私はマラー・ストラナ地区へ入り込んだ。
程なく、聖ミクラーシュ教会が現れる。
1787年。モーツァルト逝去。世界初の追悼ミサを行ったのはどこであったか。
ザルツブルクでもウィーンでもない。それはプラハ。
しかも、この聖ミクラーシュ教会で行われたのだ。


聖ミクラーシュ教会

5年前も、この教会の前で写真は撮ったが、中に入ることはしなかった。
今回は入場してみようか知らん。
ここでは60コルナ(日本円で300円ちょっとか)の入場料が徴収される。
何があるのかよくわからぬが、私はモーツァルトの痕跡を確かめるため入場してみることにした。


聖ミクラーシュ教会、入場ティケット

モーツァルト:クラリネット協奏曲

モーツァルト:クラリネット協奏曲

  • アーティスト: ロジンスキ(アルトゥール), ウラッハ(レオポルト), ウィーン国立歌劇場管弦楽団, エールベルガー(カール), モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2001/11/28
  • メディア: CD


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聖ミクラーシュ教会 [2007中欧3ヶ国の旅]


聖ミクラーシュ教会

銭を払い、聖ミクラーシュ教会に入場。
この場所で、世界初のモーツァルト追悼ミサが行われたのだというが、
そのことを端的に示す証拠を私は見つけることができない。
それでも、絢爛たる装飾に夢中になってシャッターを切るのだった。


デカイ像

2階に通ずる螺旋階段があったので、上ってみた。
ここにこそモーツァルトゆかりの品があったりするのだろうか、と上がってはみたが、
2階は10数点の絵画が吊るしてあるギャラリーとなっていたのだった。
一通りこれら絵画を鑑賞し、ふふん。ははん。と階下に降りようとした私の前にオルガンが出現。


ギャン!!!!!オルギャン出現!!!!!

私の事前の調査では、この教会、モーツァルトのミサが行われただけではない。
モーツァルトが生前この教会でオルガンを演奏したらしいのである。1787年のことらしい。
だとしたら、モーツァルトはこの写真のこの箇所に腰掛けて演奏をしたということなのだろうか。


聖ミクラーシュ教会2階から

モーツァルトの痕跡に触れることが出来たと信じつつ私は教会を後にした。
そして、ネルドヴァ通りへ。この辺りは映画「アマデウス」のロケで使用されたのではなかろうか。
私の予想が正しければ、アマデウスが父親レオポルトを引き連れはしゃぎまわるのがこの辺り。


ネルドヴァ通り

この通りは大使館などがいくつかあり、興味深い建物が何件も並んでいるのである。
が、これらを観るには坂道を登らねばならぬのである。ネルドヴァ通りは坂道なのである。
これが意外ときつそうに思えてしまった私は腹が空いていたこともあり、昼食をとることにした。


いたるところにおいしいチェコのビェール「Pilsner Urquell」の看板がある

で、入ったところは「Cerny Orel」というレストラン。
ここは5年前も来たことがあるから、安心して入店。
真昼間から、ビェールを注文し、チェコの蒸しパン「クネドリーキ」も5年ぶりに食した。
そういえば、モーツァルトはこのレストランの隣の建物に宿泊したことがあると聞いたことがある。


クネドリーキ登場

どこに行っても、モーツァルトであることだなあ。
モーツァルトよ。あなたは何故に私についてまわるのか。
おまえがモーツァルトの跡を巡っているだけだろ。というご指摘はごもっとも。
てなわけで、どんなわけだかわからぬが、ほろ酔い気分で私はプラハ城を目指した。

モーツァルト : 弦楽五重奏曲第3・4番

モーツァルト : 弦楽五重奏曲第3・4番

  • アーティスト: ラルキブデッリ, ベス(ヴェラ), ダール(ルシー・ファン), ベス(ヘイス), クスマウル(ユルゲン), ビルスマ(アンナー), モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1995/06/21
  • メディア: CD


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プラハ城(1) [2007中欧3ヶ国の旅]

プラハに来たからにはプラハ城を訪れなければ気が済まない。
プラハ城は「城」といっても大坂城とはちと違う。城みちるとはだいぶ違う。
プラハ城に向う長い階段を歩む私は、ほろ酔い状態ということもあり、気分が高揚して仕方ない。
この階段に面して、いくつかのギャラリーがあるので、覗いてみるのもまた面白いだろう。


プラハ城へ続く階段

階段を上りきり、振り返ると見事なプラハの景色が眼下に拡がっている。
茶色に統一された屋根が何とも心地よく網膜に照射されてくるのだった。
さて、プラハ城の正門の左右には微動だにしない衛兵が任務についている。
この衛兵と並んで記念写真を撮る観光客は数知れない。


世界遺産プラハの街並

それにしても衛兵。あなたはどういう気持ちなのだろう。
私もまじまじと衛兵の顔を観察していたが、彼らは意外とキョロキョロしていたりするもので、
それはそれで親近感が湧くのだった。


プラハ城正門

プラハ城内はチケットが無くとも入場できるが、
建物内部を見学したいのであれば、ティケットは購入する必要がある。
更に城内に高く聳えるゴシック建築。これは聖ヴィート大聖堂という教会なのだが、
ここで記念写真を撮るのは難儀なことなのであって、それはこの教会が巨大であるから。
全体像を捉えることはきわめて難しい。


聖ヴィート大聖堂ティケット(100コルナ=¥500ちょっとか)

さて、この聖ヴィート大聖堂内に入場するにはまた別のティケットが必要となるのだった。
何だか面倒だなあ。という感じはない。それはここが見る価値が十分あるところだからである。
まず、私は聖ヴィート大聖堂の門へ。ティケットを購入し入場。
実は、私もこの聖ヴィート大聖堂の歴史的ないわれを知悉しているわけではないのである。
が、この空間はやはり独特のアウラがあるように感ぜられる。
真冬に訪れたこともあり、教会独特の清涼とした空間がよりひんやり感ぜられるのだった。


ムハのステンドグラス

美術に興味のあるものとしてはムハが手がけたステンドグラスはやはり要チェックである。
さらに、由緒ある聖なる彫像等を観ながら奥のほうへ進むと、聖ネポムツキーの棺がある。
最前、カレル橋で観たネポムツキー像。彼はヴルタヴァに投げ込まれ非業の死を遂げるが、
今、その棺はこの聖ヴィート大聖堂内にあるのだった。


聖ネポムツキーの棺

聖堂内をぐるりと回っても、あー、観た観た。と外に出てはいけない。
この巨大聖堂には上も下もあるからである。
上というのは、この教会の塔に上ることができるということで、
上るには人間がようやくひとり通行できる幅の空間の螺旋階段をぐるぐる上ることとなる。
が、強風のためか、螺旋階段は封鎖されていた。
ぎゃん!!!!!ということはない。5年前ここには上ったからよしとしよう。


聖ヴィート大聖堂のバラ窓

さて、下はどうか。
下は王家の納骨所となっているのである。
ここで観るべきものはカレル4世(1316-1378)の棺であろう。
カレル橋はカレル4世の治世下で建設が始まった。
この王の下で、ボヘミア、プラハは栄華を極めたのである。


中央のまるで機関車のような形状の物体がカレル4世の棺

先ほど、私はプラハ城は大坂城と違うと思われると述べたが、
それは、このような巨大な教会が城内にデンと存在していることが大きいと思われた。
例えば、日本の城の場合、遠くから城を観とめることができたとして、
見ているのはまずその城の天守閣なのである。
一方、プラハ城の場合、遠くから見ることができるのは巨大な聖ヴィート大聖堂の尖塔なのである。

つまり、プラハ城の敷地で一番高い建造物は聖ヴィート大聖堂なのであって、
遠くから、プラハ城を見て、「あ、プラハ城だ」と言って指差す建造物は教会なのである。
じゃあ、それは城ではなく教会ではないか。でも、城内にある建物だから、城の一部ではないか。
と脳内が混乱し、聖ヴィート大聖堂を出ようとした私。

↑聖ヴィート大聖堂

でも、少々名残惜しい気もし、教会退場直前に後ずさりしたら、
女性の係員にティケットの提示を求められた。
ティケットを提示すると、どうぞ通行してください。といった風情で、彼女は私の後ずさりを許可した。

何なんだよ。とちらりとこの女性係員をちらりと見ると、
この係員は男性の係員とイチャイチャしていたのだった。
ということは、この係員はイチャイチャしていたので、私の行動をよく見ることもせず、
ティケットなしで教会内に闖入する輩だと私のことを見做したようである。
困ったものだ。ちゃんと職務を全うして欲しいものである。と思いつつ今度こそ教会の外へ出た。

モーツァルト:戴冠ミサ

モーツァルト:戴冠ミサ

  • アーティスト: コープマン(トン), アムステルダム・バロック管弦楽団, モーツァルト, アムステルダム・バロック合唱団, シュリック(バルバラ), マグヌス(エリーザベト・フォン), メスダッハ(マタイス), アグニュー(ポール)
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2002/01/23
  • メディア: CD


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