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最後のディナー [2010欧州5ヶ国の旅]

2010年5月3日(月)、現地時間 午後7時25分、パリ レ・アール

ポンピドゥーを後にし、レ・アール地区へ。かつては市場が立ち、「パリの胃袋」と呼ばれた場所。
今は再開発され、ショッピング・センター「フォーロム・デ・アール」があり、かつての面影は無い。
この界隈に来ると、私は名匠ビリー・ワイルダー監督の映画「あなただけ今晩は」を想い出す。
「アパートの鍵貸します」の名コンビ、ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンを再起用した作品。
「アパートの…」は大傑作であるが、「あなただけ…」はちょっと冗長。それでも愛すべき作品である。
その「あなただけ…」でレモンがマクレーンのためにせっせと働いていた市場はこの辺りだろう。

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レ・アールで大きく聳えるのはサントゥスタッシュ教会。
3年前も作曲家ラモーのお墓参りなどと嘯いて、私はこの教会を訪れた。
この教会はモーツァルトのお母さんの葬儀が行われた教会でもある。
1778年、モーツァルトは母とともにパリを訪れたが、この地で母親を亡くしたのであった。
午後7時を過ぎた今はその教会内にも入ることはできないのかな?それよりそろそろ夕食を…。
そう思いながら歩いていると、サントゥスタッシュ教会のすぐそばに1軒のブラッスリーがあった。

サントゥスタッシュ教会①

サントゥスタッシュ教会①

「オ・ピエ・ドゥ・コション(Au Pied de Cochon)」というところである。
その名の通り「豚の足」つまり豚足が名物のレストラン。ガイドブックにもちょいちょい載っている。
実は私は8年前、初めてパリを訪れた際に、このレストランで食事をしたのである。
初めての一人旅。私はガイドブックを何冊も見て、綿密に計画を立てたのであるが、
その時、このレストランでの食事を選択したのは、それほど高いところでもなさそうだったのと、
日本語メニューがあるとの情報を得ていたから。名物の豚足を食すべく、私はここに入ったのだ。

貸自転車
貸自転車。自転車でこの街を駆けるのも魅力的

だが、8年前。私はここで日本語メニューと出会うことはできなかったのである。
なんせ初めての海外一人旅。店員に「日本語メニューは?」と尋ねる余裕も無い私。
差し出された英語メニューと格闘し、適当な品を注文。出てきたのは案の定豚足ではなかった…。
そんなほろ苦い想い出のあるレストランであるが、私もね、この8年で経験を積んできましたよ。
だから、今回ここで食事をしたら、きっと無事に豚足にありつけるのではないか知らん?
というわけで、今回の取材、最後のディナーは「オ・ピエ・ドゥ・コション」で決定。

サントゥスタッシュ教会②

サントゥスタッシュ教会②

席に案内され、メニューを渡される。開いてみたところ日本語メニュー。何だあるじゃないか…。
よくある怪しげな字体の日本語のメニューではなく、何の不自然も無い日本語のメニュー。
これならば間違いなく豚足にありつけるであろう。と、私は豚足と赤ワインのハーフボトルを注文。
え?ビェールは?だって?まあ、何となくワインを注文したのです…。理由はありません…。
しばらくして、ウェイターがその赤ワインを持ってきてテイスティングを勧めてきた…。
まいったな。ただ安いのを選んだだけなのに…。私はなんとなくテイスティングしたふりをした…。

イノサンの泉

イノサンの泉。今は憩いの場所だが、かつてここは墓地だったという…

店内は賑やか。10人くらいの地元の?家族?親戚?が目の前のテーブルでパーティーをしていた。
赤ワインをちびりちびりと飲みながら、店内の雰囲気を味わっていると、待ちに待った豚足が。
豚足のグリル。ついにきました。実は私、豚足というものを食べるのはこれが初めてかも知れぬ。
食べたことはあるのかもしれないが、食べた記憶がないのである…。
でも、こういうものを食べて印象に残らないということは無いと思われるので、恐らく初めてである。
付け合わせのフリッツもいっぱい出てきて、これは満腹になりそうである。

豚足
豚足のグリル 12.20ユーロ 赤ワインハーフボトル 11.00ユーロ

フォークとナイフでほじくり返すとゼラチン質がどんどんでてくる。これをどんどん口にはこぶ。
私のような食べ方でいいのだろうか、多分ものすごい下手くそな食べ方になっていたと思うが、
食べることができると思われる箇所をできるだけほじくり返し私は食したのである。
8年ぶりにありつけた豚足。ちょっと感無量といった気もしたのだが…。なんのこっちゃ…。
隣の席では白人の女性がひとり食事をしていたが、見れば私と同じ赤ワインを飲んでいる!
私のワインの選択もあながち間違いではなかったな。ははは。と、遂に私は取材の最終目的地へ!

Au Pied de Cochon
Au Pied de Cochon
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いっぷく

貸し自転車はロンドンでも増殖中。
一見して重そうに見えるけど軽快なんでしょうね。
豚足ってそのままの形で出されるんですね。
ちょっと勇気がいるかも。
by いっぷく (2010-12-16 23:08) 

mimimomo

おはようございます^^
豚足といえば、アメリカ時代の日本人知人家族のご主人が
豚足が好きで、年に何度かは食べるという事を仰っていました。
兎に角食べた翌日は頭から足先まで皮膚が油でつるつるになるとか^^
精力満点と言う感じのご主人でした(><;
フランスにもそう言うものを食べさせるレストランがあるのですね~
by mimimomo (2010-12-17 05:58) 

Silvermac

豚足に出会えて良かったですね。(^O^)
by Silvermac (2010-12-17 06:05) 

orange

いいですねぇ。旅の記憶をこれだけじっくりと楽しめると。
それぞれに意味のある瞬間。その記憶が後々深い記憶の世界へと
広がっていく。
豚足。けっこうボリュームありますね。赤ワインと合いそうですね。

by orange (2010-12-17 13:58) 

marie

りんこうさんこんばんは♪ 色々なところを旅されていてうらやましいです。
豚足、中華料理のイメージとは全然ちがいますね、

by marie (2010-12-17 18:28) 

TaekoLovesParis

ピエ・ドゥ・コション、私も昔、行きました。でも豚足食べる勇気がなくて、、、
何食べたか忘れたけど、オニオングラタンスープがとびっきりおいしかったのを覚えてます。
読みながら、りんこうさんの赤ワインという選択、しかもハーフボトルは、
かっこよかった、って思いました。
by TaekoLovesParis (2010-12-17 18:57) 

Inatimy

モーツアルトのお母さんの葬儀が行われたの、ここだったんですね~。
じゃ、お墓は、パリに? どこかしら、気になりますね・・・。
by Inatimy (2010-12-18 05:56) 

りゅう

豚足・・・私も勇気がなくて食べたことがありません。
どんなお味でしょう?
前回が英語メニューで今回は日本語メニュー。
次回はいよいよフランス語メニューに挑戦ですね♪(^_^)/
by りゅう (2010-12-18 23:47) 

nyankome

>豚足のグリル 12.20ユーロ 赤ワインハーフボトル 11.00ユーロ
これ最高ですね。安いです。
by nyankome (2010-12-19 01:36) 

aranjues

パリで豚足ですか。イメージとはかけ離れますが。
隣のご婦人も豚足でしたか?。
by aranjues (2010-12-19 17:35) 

mimimomo

こんばんは^^
再びお邪魔しま~す♪
今日はちょっと寒い千葉でした。
『アパートの鍵貸します』って題名だけは知っています。
見てみようかしら~
by mimimomo (2010-12-19 17:53) 

pistacci

海外での食事、普段食べなれていないものを食すときは、
注文にしてもちょっとどきどきですね。
りんこうさんの旅行記はとってもわかりやすくて参考になります。
過去記事を参考にさせていただいて、ウィーンに行って来ました。
by pistacci (2010-12-20 11:40) 

りんこう

いっぷくさん、こんにちは!
自転車で街を風切って走るのは魅力的に感じます。
自転車だからこそ見えてくるものもあるでしょうね。
豚足は抵抗なく食べられましたよ。

mimimomo さん、こんにちは!
確かにゼラチンというかコラーゲンというかそれがすごいです。
ほとんどそのゼラチンというかコラーゲンを食べている感じです。
そういえば僕も翌日肌がつるつる滑って…たかは忘れました。

Silvermac さん、こんにちは!
8年目にしてありつけた豚足でした。
今回は食事に関しては、各地で名物を食べることができたかなと思います。

orange さん、こんにちは!
今年のGWのときのおはなしなのに、年末まで引っ張ってしまいました。
で写真をいっぱい撮ってきたこともあり、各地の出来事をよく憶えています。

marie さん、こんにちは!
一週間のミュンヒェンからパリまでの珍道中でした。
訪れた国は5カ国。でも初訪問はリヒテンシュタインのみでした。
もし、次取材に出る機会があれば、もっと見訪問の国に行ってみたいですね。

Taeko さん、こんにちは!
Taeko さんもここに行かれたのですね。
ご指摘の通り、オニオングラタンスープも有名らしいですよ。
さすがTaeko さんちゃんとおさえてらっしゃいますね。

Inatimy さん、こんにちは!
モーツァルトのお母さんのお墓はどこなんでしょうね?
この教会の中かな?と思って3年前探してみましたが、見つかりませんでした。

りゅうさん、こんにちは!
次はフランス語メニューに挑戦!
そうですね!でも、その前にまたフランスに行けるんだろうか…。

nyankome さん、こんにちは!
この程度のお値段なら許容範囲でした。最後の夜ですし。
安く旅費をおさえるためには宿と食事でお金を浮かさないと。
あんまりケチってもつまらないですけれどね。

aranjues さん、こんにちは!
隣の女性は若い人でこの人も一人旅をしてたんでしょうかね。
ワインはまったく同じものでした。
豚足は食べていたかなあ。思い出せません…。

mimimomo さん、ふたたびこんにちは!
「アパートの鍵貸します」は僕が今まで観た映画のうち、上位10本には入ります。
観るたびに細かな発見があって、ほんとうにおもしろい。
ぜひぜひご覧になってみてください!

pistacci さん、こんにちは!
今後も取材先での出来事をわかりやすくお伝えできればと考えておりますよ。
次回の取材はどこになるのかなあ…。
by りんこう (2010-12-25 12:54) 

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