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ジャクリーヌ・デュ・プレに会いに行った [お墓]

2008年12月28日(日)、現地時間 午前9時30分、ロンドン Golders Green 駅。

ロンドンの地下鉄 Northern Line は途中で二手に分岐している。
一方はHigh Barnet 駅方面。一方はEdgware 駅方面。私が目指すのはEdgware 駅方面。
エレファント&キャッスル駅のホームで待っていたら、すぐにEdgware 駅方面の列車が。
これに乗り込んで、Golders Green 駅で下車。ここまですんなりとやって来ることができた。

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Golders Green 駅

駅前のロータリーには2階建てバスが次から次へとやって来る。
それを横目に見ながら、私は駅の裏側にあたる住宅街を歩いてゆく。
とても閑散としているが、なんでこんなところを私は歩かねばならぬのか。
それはこの近くに「Golders Green Crematorium」という施設があるからである。
「Crematorium」とはあまり聞きなれない単語だが、「火葬場」という意味だという。
じゃあ、なんでそんなところに向かわねばならぬのか。それは会いたい人がいたからである。

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「Golders Green Crematorium」を示す標識

Golders Green Crematorium は墓所となっており、数多くの有名人がここに眠るという。
私は彼らに会いたいという一念で静かな住宅街をさびしく歩んでいるのである。
とぼとぼと歩いていると「Golders Green Crematorium」を示す標識が!
この標識に導かれるまま右折、すると左側に広大な墓地が出現した。
想像していたより広い墓地である。私は思わず声をあげてしまった。

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広大な墓地

だが、この墓地がGolders Green Crematorium というわけではない。
ここはGolders Green Crematorium と道を挟んで向かい側にあるユダヤ人墓地である。
実はここにも私が会いたい人物が眠っていた。
夭折のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレである。
私はまずはジャッキーに会いに行くことにしたのだった。

正門を見つけ墓地の中へ入る。広い空間の中、誰も人がいない。
こんな中から、やみくもにジャッキーを見つけ出すのでは非常な困難を極めるだろう。
ただ、私は渡航前にジャッキーが眠る区画を調査していたので、そちらへずんずん進む。
すると、背面に「Jacqueline du Pré」と黄金の文字がある墓石を発見!!!!!
ジャッキーに出会えた瞬間である。この出会いの瞬間はいつものことながら感動である。

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ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-1987)のお墓

まわりこんで遂にご対面。
私はそこに刻まれていた文字を見て、再度グッときてしまった。
「BELOVED WIFE OF DANIEL BARENBOIM」
墓石にこの文字が刻まれていたのである…。

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チェリストのお墓を訪れたのは2006年のカザルスに続いてジャッキーで二人目となった。
私はipodを取り出し彼女が熱演するドヴォルジャークのチェロ協奏曲第3楽章を聴いた。
その熱い演奏と目の前で眠っているジャッキーの対比で、彼女の無念が浮き上がるよう。
私は感謝の言葉を彼女に伝えると、ちらちらと彼女のほうを振り返りながら墓地を後にした。

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲

  • アーティスト: デュ・プレ(ジャクリーヌ),ドヴォルザーク,バレンボイム(ダニエル),シカゴ交響楽団
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: CD



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コメント 4

いっぷく

予想はハイゲートの墓地でしたがここも近くですね。
さすがりんこうさんならではの行き先でしたね。
でもハイゲートの方も足を伸ばしたかな・・・。
by いっぷく (2009-01-13 23:19) 

TaekoLovesParis

映画通、クラシック音楽通のりんこうさんならではのお墓参りでしたね。
お墓の前で演奏を聴く、すてきなお参りのしかただと思います。
夭折のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレについては、前に記事を書いていらっしゃいましたね。
by TaekoLovesParis (2009-01-14 23:48) 

りゅう

ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート中継を見ました。
ジャクリーヌ・デュ・プレさんに会ってきた直後での今回のコンサート中継はとても感慨深いものがあったのではないでしょうか?(^_^)
by りゅう (2009-01-15 00:36) 

りんこう

いっぷくさん。こんばんは!
残念でしたね、行き先はここでした。でもハイゲートの墓地にも…。

Taeko さん。こんばんは!
デュ・プレの演奏はとにかく熱いですね。
お墓の前で私の胸も熱くなりました。
気温は結構寒かったはずなんですが。

りゅうさん。こんばんは!
そうですね。今年はバレンボイムだったんですよね。
でも、取材の疲れからか見逃してしまったのです。ダメですねえ…。

by りんこう (2009-01-17 19:38) 

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