よいお年を!
私は学生時代バイト先のおばさんに、「よいお年を!」と言われたことがある。
お正月に…。
私は正月早々頭を抱えてしまったのだった。
お正月に「よいお年を!」とはこれいかに。
まさか、もう来年のことを指して、よいお年をお迎えくださいとのたまっているのだろうか。
そのおばさんは私以外の人たちにも、しきりに「よいお年を!」と繰り返していたのである。
そして、「よいお年を!」と声かけられた誰もが怪訝そうな表情をしていたのであった。
恐らく、このおばさんは「よいお年を!」は正月にかけるべきことばであるのだと勘違いをしている。
ただ、誰もが怪訝そうな表情のままで、その間違いを指摘できなかったのである。
そりゃそうだろう。間違いを指摘したら、このおばさんは正月から赤っ恥なのである。可哀想だ。
ただ、もう誰もがこのおばさんは間違っていることだなあ。
と気付いて気付かない振りをしているのであり、もうこの時点で十分このおばさんは赤っ恥である。
その赤っ恥の事実を当の本人が知らないままだから、救いがあるのだろう。
はて、そうだろうか?
早く間違いを指摘してあげないと、このおばさんは正月が来るたびに赤っ恥なのである。
赤っ恥も積もれば山となる。山の標高は正月が来るごとに上昇するだろう。
誰も間違いを指摘しないのは、このまま指摘しないでおくとどこまで山が高くなるのだろう、
というような意地悪な好奇心があるからではないか?
いや、そうだろうか?
「よいお年を!」というのは「よいお年をお迎えください!」という意であり、
この「お迎えください!」が略されているのだと考えられるが、
このおばさんがそうとは限らないではないか。
「よいお年をお迎えになりましたか?」
例えばの話だが、このような意で「よいお年を!」を用いているかもしれないからである。
この場合、「お迎えになりましたか?」ということばが略されているのだと思われる。
まあ、「お迎えになりましたか?」と訊かれても、そんなことは分からないし、困ってしまうが、
きっと、このおばさんは我々のことを気遣って訊いてくれているのに違いない。
おばさんは我々のことを気遣って訊いてくれているのだから、
それを間違いと思って指摘するというのは、軽率で失礼な行動ではないだろうか。
だから、ただ怪訝な表情を浮かべ、その奇妙なあいさつを黙認するほかないのではないだろうか。
嗚呼、あのおばさんは間違いに気付いたのか、それとも最初っから間違ってなどいないのか。
そんなことはどうでもいい。
みなさま、よいお年をお迎えください!
お正月という時点においては1年はこれからという時期ですね。
その年がよい年であったかどうかを評価するのは
その年の終わりに1年間を振り返ってみてということになるでしょう。
「よいお年をお迎え」するのはこれからという風に考えても
あながち間違いじゃないといえるかも知れませんねー・・・。
by しゅん (2005-12-31 23:02)
年賀状です。
↓
あけましておめでとうございます。
りんこうさんは、ほとんど毎日書いていらっしゃるので、開いてみるのが楽しみです。今年も執筆がんばってください。
2006年 元旦
by TaekoLovesParis (2006-01-01 16:10)
しゅんさん。Taeko さん。明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
Taeko さんみたいな年賀状を受け取ったのは初めてです。
しかと受け取りました。ありがとうございます!
by りんこう (2006-01-03 01:04)