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映画「おくりびと」のロケ地を訪ねて~鶴岡市編~ [旅]

酒田市から鶴岡市に移動してきたりんこう。まずは鶴岡公園付近から散策開始。
鶴岡市で訪れるべきロケ地は銭湯「鶴乃湯」である。
この銭湯は映画の中でもたびたび登場する重要な舞台なのだった。
みやげ物を買ったりしながらしばらく歩くと「鶴乃湯はこちら」というような看板を見つけた。

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「鶴乃湯」はこちら


時刻は午後2時30分。「鶴乃湯」の営業時間は午後3時からということで、まだ早い。
そこで、商店街をぶらついてみた。この商店街もロケに登場した。
主人公の大悟はバスの中である理由から女子高生たちに「あの人くさい…」と言われてしまう。
そのバスが走っていたのがこの鶴岡市の商店街だった。
その「ある臭い」を落とすために大悟は「鶴乃湯」にやってくるのだ。

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鶴岡市銀座通り商店街

商店街を歩いてみたが、やはりここもシャッター通り…。
このまま当てもなく歩き続けては疲れる一方なので、ちょっと早いが「鶴乃湯」へ行ってみた。
「鶴乃湯」へ着いたのは営業開始時間の10分ほど前だった。
小路にこじんまりとその銭湯は残されていて、
私も主人公のように「ここまだ残っていたんだ…」と言いたいような気持ちになった。

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「鶴乃湯」はひっそりとあった

中にはもう入れるのだろうか?おそるおそる中を覗いてみると、話し声が聞こえる。
既に先客がいるようだった。ただし女湯の方から聞こえてくる。
脱衣場で3人くらいおばさん達が集まって高校野球の話で盛り上がっているようだった。
こうしてお風呂に入れる午後3時を待っているのか…。
一方、男湯の脱衣場には誰もいなかった。

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「鶴乃湯」

確かにここだ。映画に出てきたそのままだ。
隣の女湯の方からはおばさん達が相変わらずおしゃべりを続けているが、
その語尾に「…のぅ」という語がつく。庄内の方言なのだろう。
映画の中でも俳優さん達が「…のぅ」と会話をしていたが、
ホントにそのままで、映画の世界に入ったような錯覚に陥ってしまった。

男湯の方にも客が入って来た。地元の人と思しきおじさんである。
映画を観て来たの?と尋ねられたので、そうです。と答えた。おじさんは毎日来ているらしい。
おじさんは午後3時になった途端、さっと風呂に入って行った。一番風呂である。
私も続いて湯船につかった。少々熱かったので水道をひねって水を埋めて程良い湯加減にした。
この雰囲気を噛みしめるように湯船につかる。汗をさっぱり流して浴場から出た。

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「鶴乃湯」の脱衣場

番台のおばさんに「映画の後、訪れる人が増えたのではないですか?」と訊いてみた。
するとおばさん。「中を見せてくださいって人は増えました。見学に来る人がね…」というお返事。
湯につかりに来る人は増えていないのだろうか?どこか引っかかった答えなのが気になった。
番台のおばさんにお礼を言って「鶴乃湯」を出た。
出た途端、観光客が「鶴乃湯」の写真を撮っているのに出くわしてしまい、
私はまるで週刊誌に激写されてしまったかのようだった。

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脱衣場に掲げられていた滝田監督のサイン

その2週後、私はあるニュースを聞いた。「鶴乃湯」今月いっぱいで廃業というニュースである。
訪れた直後だっただけにこのニュースには驚いた。
http://www.asahi.com/national/update/0824/TKY200908230224.html
記事を読む限り、どうやら廃業の意思は強いようで、秋には建物も取り壊されるらしい。
番台のおばさんのどこか引っかかったようなものの言い方はこういうことだったのか…。

「鶴乃湯」では隣から聞こえてくるおばさん達の会話を聞いていると、
コミュニケーションの場としての「銭湯」という存在を実感できたし、
毎日パソコンの前でキーボードを打っている状態とは正反対のような環境だなと感じた。
そういう古き良き場所が「おくりびと」という最期の輝きを放って消えてゆくらしい…。
これはまさに大切な一期一会の出会いとなったのだった…。

次回からはまた中欧旅行記を再開します…。

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pistacci

なんだか、知らない土地なのに、妙に懐かしさを感じる風景です。
銭湯は、次々なくなっちゃいますね。
まだ、見てないんですよ、この映画。見なくっちゃ。
by pistacci (2009-09-01 00:58) 

りんこう

pistacci さん。こんばんは!
ぜひご覧になってください。僕のブログに登場した場所がたくさん出てきます。
ここ「鶴乃湯」は鶴岡市で唯一の銭湯らしいです。
で、ここが無くなるということで鶴岡市から銭湯は無くなったということですね。
そういえば、僕の住む町にはまだ銭湯あります。今度行ってみようかしらん。
by りんこう (2009-09-01 19:57) 

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