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エコノミーのシートで [2006スペイン・フランス旅行]

私が座したエコノミークラスのシートは横に4つ席が並んでいるところの右から2番目で、
一番右側、つまりこれは通路に面しているのだけれども、
ここにはドイツ人の男性が座っていたのである。
私が機内に入ってきた時、このドイツ人は既にしてシートに座り、新聞を読むなどしていた。

一方、私の左側のシートは2席まだ空席となっていて、
お。ここ、空席なんじゃないの。足を伸ばしたりできそうじゃないの。
などと勝手な妄想をはたらかせたのだった。
だが、数分後、夫婦らしき二人の日本人が乗り込んできて、その空席に座った。
私の妄想は粉砕。そして不安が増幅。

どんな不安であるかというと、それはトイレの問題なのである。
このように通路に面していない座席に位置していると、便意を催した際、
必然的に隣席の人物に声をかけ、その旨を伝え、
その人に一度席をはずしてもらうなどして、道をつくってもらわねばならないのである。
日本国から欧州へのフライトというのは周知の通り長丁場で、
その長丁場の中、2度も3度もトイレ行きという行為は避けたいものである。

私の座席位置では、日本人夫婦に声をかけるのではなく、ドイツ人男性に声をかけることになる。
それは、日本人夫婦に声をかけると2人に迷惑がかかってしまうけれども、
ドイツ人男性に声をかければ、迷惑は1人にかかるだけで済むからである。
が、幾度もトイレへ行っているようでは、ドイツとの外交問題に発展しかねない。

あれは、昨年の取材の時だった。
あの時、私は通路側の座席を確保できたのだけれども、
私の隣に位置していた女性が一時間にいっぺんの割合でトイレに立ち上がる人だったのである。
その度に私は席をはずし、この女性をトイレに追いやり、
彼女がトイレから帰ってくるや否や、再び席を立ちを彼女を席に座らすといったことをしたのである。
非常にトイレが近い人であると感じた。

このようなシートから立ったり、座ったりといった運動を繰り返すことにより、
エコノミー症候群の症状は回避できたと思われるが、
私はちっともゆっくりできなんだ。
この女性は到着2時間前位になって、「トイレ近いんで席替わりましょうか?」と提案してきたが、
私はその提案を拒絶。
到着2時間前になり、席をドタドタ替えるというのはなんとも馬鹿馬鹿しく気が滅入ったからである。

だから、こんな気持ちにドイツ人をさせないためにも、
頻繁に便意を催すことの無いように私は祈った。
結果。フランクフルトに着くまで、私は一度もトイレに行かないで済んだ。
我慢していたのではない。便意を催すことが無かったのである。ありがとう。

それはそれでよいが、その間私は10時間以上狭いシートに座しているわけで、やはりつらい。
早朝に目を覚ましたこともあり、睡眠に入ろうか知らん。と試みた。
けれども、このような狭い環境で睡眠に入るという適応能力を私は持ち合わせていなかった。
そんな時のために私は文庫本を持ってきていた。「ダ・ヴィンチ・コード(下)」である。
パリの取材では「ダ・ヴィンチ・コード」に登場する地も訪れる予定でいたので、
これで士気を高めようという気持ちもあった。
尤も、「ダ・ヴィンチ・コード(下)」は舞台がパリからイギリスに移ってしまっているが。

けれども、このような狭い環境で読書するという適応能力を私は持ち合わせていなかった。
前の座席の下方に置いたカバンから文庫本を取り出すのさえ憂鬱だったのである。
前方のスクリーンでは映画が上映されるということだったけれども、
興味のある映画はプログラムに編入されていなかった。
それでも、「ファンタスティック・フォー」なるSFアクションは観た。
イヤホンを肘掛に設えてある機器に差し込む気もあまりしなかったので、音声なしで鑑賞。
音声なしでも、ストーリーは単純であり、理解はできた。
存分に登場する視覚効果もその理解を助けるのに役立った。
本作品は劇場にわざわざ行くほどの作品ではないだろうが、
このような狭い空間で消沈している私の時間を潰してくれた。安心して楽しめる娯楽作であった。

そんなこんなでフランクフルトへ到着。
すると、突然トイレに行きたくなったのだった。


フランクフルト行き機内での機内食メニュー


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コメント 4

おおっ!!!

人間の精神力ってすごいですね(笑
by おおっ!!! (2006-05-15 21:27) 

TaekoLovesParis

りんこうさんの描写がくわしいので、読んでいると、狭い機内を思い出します。
隣の人に1時間ごとにトイレで起こされたら、眠れませんよね。そんなことも
あるんですね。
ルフトハンザの機内食、鶏の唐揚げ、キャベツ、ごはんって、社員食堂みたいなメニュー。りんこうさんは牛肉になさったと思うけど。
by TaekoLovesParis (2006-05-16 00:53) 

りんこう

おおっ!!!さんの仰るとおりで、人間は時として物凄い能力を発揮します。
トイレを我慢するのも、間違いなく物凄い能力ですが、体にはよくないでしょう。
が、今回フランクフルトへの機内ではホントに便意を催さなかったのです。

Taeko さん。社員食堂とは面白い例え。
何を食べたのだっけ?忘れてしまいました。
鶏は鳥インフルエンザが恐い、牛肉は狂牛病…。
そんなことばかり考え、何食べたのか忘れてる私は阿呆です。
by りんこう (2006-05-17 00:35) 

kenta-ok

ヨーロッパな長くて長くて、気が滅入ります。
http://blog.so-net.ne.jp/kenta-ok/2006-05-21
by kenta-ok (2006-05-29 00:00) 

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