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日本国脱出にはだかった壁 [2006スペイン・フランス旅行]

私が日本国を出国したのは4月29日、土曜日のことで大型連休の初日なのだった。
成田からバルセロナというのは直行便が無いので、フランクフルト乗り換えなのだった。
私が搭乗する飛行機の離陸は9時55分ということで、
様々な手続きをしなければならぬことを考えると、2時間前に成田に到着することが望ましい。

私は午前4時頃に起床し、成田までのリムジンバスが発着している最寄の駅へ向かったのである。
バスの発車時刻が5時40分で、成田第2ターミナル着予定が8時05分。
私は海外に取材に行く際、このリムジンバスをいつも利用しているが、
まず、この予定時刻より遅れて到着するということはよほどのアクシデントが無い限りありえない。
それどころか、この予定時刻より何十分も早く成田に到着するということがしばしばなのである。
ま、はやく到着するに越したことは無いわけで、フライトの2時間前の到着は確実であろう。

このリムジンバスは予約などせず乗り込むことが可能。それはいつもガラガラだから。
けれども、私は取材の意気を高めるためにも、
一週間前にコンビニエンスストアーの自動発券機にて座席を予約確保。
でも、やはり車中はガラガラなのであった。
このリムジンバスの車中におけるささやかな楽しみは、車窓から見る東京ディズニーランドの風景。
もう、何年もこのランドの中へは足を踏み入れていないのだけれども、
スペースマウンテンがある白い建造物が見えると、
成田へいよいよもう少しであるなあと気持ちも高ぶってくる。
しかし、何ですかあれは。シンデレラ城は今、工事期間なのですか。
足場が組まれ、城の姿が覆われていて、まったく見えない状態。ちと凹んだ私。

で、成田に2時間前に到着したは良いけれども、人人人人人…。
大型連休中に日本国脱出をしたことはこれまでもあったけれども、
ここまで混んでいたのは初めてではなかったか。
私はすぐさまチェックインカウンターに向かったけれども、蛇行した長大な行列が既にできていた。
手続きを済ませるには3度ほどクネクネとターンして列を進まなければならなんだ。
しかも、列の動きが極めて遅鈍なのである。刻一刻と時間が過ぎていった。
これに追い討ちをかけるように、「宮島」とプリントされたビニール袋を幾つも抱えた外国人がいて、
恐らくこの人は日本のお土産をたくさん買いすぎてしまったのであろうか、
どの荷物を預け、どの荷物を機内持ち込みにするかで懊悩していたのだった。
やっと、私の番が来たのだけれども、だいぶ座席が埋まってきていたようで、
希望する通路側の座席をゲットすることは叶わなかった。凹んだ私。

さて、受け取った航空券には最終搭乗時間はフライトの10分前ということを記したシールが貼られ、
「そりゃそうだ、搭乗に遅れるなんてな行為は人倫に悖る許されざる暴挙である」とひとり納得。
この時点でその時刻まで一時間切ったくらい。そこで、私は余裕をかまし保険に加入。
あ、両替もしなくちゃね。両替票に記入し、またもやクネクネ蛇行した列に並んだ。
が、時計を見ると、フライト10分前まで後20分程となってしまっていたのである。
ぎゃん!!!!!私はこのままこのクネクネに並んでいて良いものなのであろうか。
ゲートに着いたは良いが、飛行機は既に飛び立っちゃいました。なんてなことにならんだろうか。
などと内心焦り始めていたのだけれども、結局、列から脱落はせずにそのままクネクネと並んだ私。
ユーロ紙幣をゲット。そして、時計を見るとフライト10分前まで後5分を切っていた。

私は小走りでセキュリティ・チェックに向かった。当然、人人人人人人人人人人…。
もう胸が締め付けられそうであった。脳裏に飛行機が飛び立ってしまう映像が何度も流れる。
唇が乾いてきた。恐らく顔面は蒼白。
そんな形相でセキュリティ・チェックを受ける私。不審者に見えても仕方なかったろう。
金属を探知するマシンを通ってもブザーは鳴らなかったけれども、もうフライト10分前だった。
先に指摘された「最終搭乗時間」である。
泡を噴出して白目をひん剥いてぶっ倒れそうであったが、ぶっ倒れたらおしまいである。
何とか持ちこたえた。

で、次なる難関は出国審査。当然、人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人…。
だみだこりゃ。今回の取材は成田で頓挫か。
しかし、大金を叩いて取材しに行くのであるから、諦めるわけには行かないのである。
私は並んでいる人に現在の窮状を訴え、列への割り込みを許してもらおうと試みることにした。
列の前方にスーッと進み様子を窺う。
この場合大事なことは、なるたけ優しそうな人に窮状を訴えた方がよいということで、
「すいません、フライト時間が迫っているので、入れていただけませんか」と訴えたところで、
訴えかけた相手が極悪人でボコボコにされてしまったら、出国が叶わないのである。
ま、その場合は私をボコボコにした人間も出国は叶わないだろうから、
そんな人間は多分いないだろうけれども、ねちねちと嫌味を言う人間であったらやはり嫌である。
しょっぱなから今回の旅の印象が悪くなることが必至なのである。

さて、私は子連れの3人家族に窮状を訴えた。
私は泣きそうな顔になっていたことだろうと思うが、よく覚えていない。
いつの間にか旅券に「出国」の印が押されており、私はゲートに向かって駆け出していた。
何とか間に合うのではないかと期待したが、残念ながら難関はこれだけではなかったのだ。
私が搭乗するゲートが所在するところは、
シャトルなる電車の形状をした乗り物に乗らねば到達できない場所に位置していたのである。
シャトルに乗り込む。時計を確認。無情にもフライト時間だった。生きた心地がしなかった。
ああ、飛行機はもうフランクフルトへ行ってしまったのか。
シャトル内の電光掲示を見る。「あと1分で発車します」とか出ていたように思う。
阿呆!何なのですか!今すぐ発車したまえ!私は立っているのもやっとなほどであったが、
そんな私の状態を嘲笑うかの如く、シャトルは普段どおりの運行。

さほど離れていないところへシャトルは停止し、「到着いたしました」という間抜けな音声。
これなら走った方が速かったんじゃないのですか。と思いつつゲートへゴー。
ゲートへ辿り着き、ティケットを出すと「やっと来たのですか」みたいな顔をされたように感じた。
嗚呼!よかった!間に合った!とりあえずフランクフルトには行けることになりそうだ。
汗を拭きつつ、蒼白だった顔面に血の気が復活してくるのを感じた。そして、冷静になり始めた。
おい。どういうことなんですこれは。空席が目立つではありませんか!
あんなに人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人…。であったのに…。
通路側の座席をゲットできなかったのに…。みなフランクフルトには行かないのであろうか…。

いぶかしんでいること数分。ゾロゾロゾロゾロと笑顔で機内に登場してきた人が何人もいた。
みな顔面は蒼白ではなかったように思う。みな余裕の表情であったように思う。
あんなに焦っていた私は何であったのか。
結局、飛行機が離陸したのは私が乗り込んでから20分くらい後だったろうか。
かくして波乱の取材が幕を開けたのである。


成田にて。チェックイン後に撮影。


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コメント 3

りゅう

無事、脱出できたようですね!!(^o^)丿
定時に離陸できたのかな?
次回はいよいよ現地取材の記事でしょうか?えっ、機内でスクープ???
楽しみですね!!v( ̄ー ̄)v ヴイヴイ
by りゅう (2006-05-13 11:11) 

TaekoLovesParis

りんこうさん、やっぱりすごい混雑だったのですね。TVのニュースで何度も成田から出発する人が近年で最高って言ってたけど、列が進まないとヒヤヒヤものですね。

りゅうさんのコメント(笑) 機内でスクープ、、って予想してる。
by TaekoLovesParis (2006-05-13 21:57) 

りんこう

りゅうさん。こんばんは!
多分、定時の離陸ではないですね。
でも、フランクフルトには予定通りに到着したみたいですが。
現地取材の記事にいよいよ取り掛かろうかと思いましたが、
りゅうさんのリクエスト(?)もあり機内の様子も載せました。

Taeko さん。こんばんは!
すんごい混雑でした。そういえばTV局の取材も多数来ていましたね。
きっと「どこへ行かれるのですか?」と決まりきったことを訊かれるのでしょう。
僕は取材に鉢合わせしないように行動していました…。
by りんこう (2006-05-14 23:54) 

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