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2007中欧3ヶ国の旅 ブログトップ
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2人のチェコ人 [2007中欧3ヶ国の旅]

私にバスの座席を譲ってくれた足の不自由なチェコ人の男性。私は躊躇った。
そりゃ、私は成田からここまで抜け殻のようになっていたりはしたけれども、
直立困難でどうしても座さなければならぬという状態ではなかったのである。

が、よく見れば、彼の座している隣の窓側に面した席は空席なのであった。
どうしたものか。確かに座ろうと思えば、ここに座れるのだけれども、
私は大きな荷物を引きずっているのであり、ここに2人座するとなると窮屈である。

しかし、そのチェコ人はそんなことはお構い無しに私を座席に誘う。
申し訳ないなあと思いながらも、ここは彼の好意を無にせず、私は窓側の席に座することにした。
このチェコ人は、この先に行くと地下鉄の駅があるから、それに乗るといいよと私にアドヴァイス。
うわあ。何て良い人なのだろう。そんなことは私は既に知っているが、感謝の意を伝えた。

バスが動き始めてしばらくすると、彼は窓の外を指差し、説明を始めた。
「ごらん。あれがダコタだよ」
そんなことを言っていたと思う。ああ。ダコタかあ。え、何?ダコタって?
私は懸命に窓の外を凝視したが、遂にダコタの正体を掴むことは出来なかった。

「オー。ダコタ…」
間抜けな声で無意識にそう呟いていた私。
その間抜けな声を脳内で反芻し、恥じていると、彼は程なく何気なくバスを降りていってしまった。
チェコ人の優しさに早くも触れた私。
その一方で今回の旅はどうなってしまうのだろうと期待と不安が入り混じる。

そんなことを考えていると、バスは地下鉄A線Dejvicka駅に着いた。
この地下鉄A線に乗り5駅。Museum駅へ行く。
そして、地下鉄C線に乗り換えて1駅。Hlavni Nadrazi駅で下車。
この駅はプラハ最大の駅。ウィーンへ鉄道で移動する際もこの駅から移動することにしていた。
そのHlavni Nadrazi駅の目と鼻の先の宿を私は予め確保していたのだ。


今回の宿

Hlavni Nadrazi駅を出て、宿へ向う。
スーツケースを引きずっていた私だが、このスーツケース。引きずるとゴロゴロ結構うるさい。
さらにはキーキー耳を劈く不快な音を出すことがままあるのだった。
自宅を出る直前、車輪に油を差して出てきたので、キーキー音は止んでいたが、
ゴロゴロうるさいことに変わりなし。地面が石畳で凹凸であることがゴロゴロ音を助長する。

私はゴロゴロ音を回避せんと道のところどころでスーツケースを持ち上げて歩いていたのだ。
すると、その私の姿を見かねたチェコ人の若者が私に向って何やら言っている。
「Roll it!Roll it!」
私がスーツケースを持ち上げて歩いていたのは、ほんの数秒の間だったのに、
その数秒の間に私はチェコ人に「(荷物が重そうだから)引きずりなさい」と言われてしまった。


Museum駅とHlavni Nadrazi駅の間に国立オペラ劇場がある

私は思わず苦笑してしまった。
チェコ共和国に入国して2時間ほど。このVIP待遇は何なのだ。
バスの座席を譲ってくれた人。Roll it!の人。
この2人の人からチェコ人の素性を導き出すのは甚だ危険な行為だけれど、
立て続けにこのような人たちに出会ったことで、
私のチェコに対する印象は間違いなく更に良いものへとなった。

そんなわけで私は疲労はしていたが、ゴキゲンで宿にチェックイン。
この後、今夜はどうするか。
そんなことは決まっている。チェコに着いたのだ。ビアホールへ直行である!!!


国立博物館と国立オペラ劇場

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番&第4番&第5番

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番&第4番&第5番

  • アーティスト: クレーメル(ギドン), アーノンクール(ニコラウス), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2005/12/14
  • メディア: CD


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ビアホールで出会った夫婦 [2007中欧3ヶ国の旅]

宿にチェックインし、部屋に荷物を置く。
とりあえずテレヴィジョンをつけるも、何を言っているんだかさっぱり分からない。
ぎゃはは。とテレヴィジョンの電源を切って夜のプラハに繰り出した。

宿を出て右側にひたすら歩を進めると、国立博物館があるはずである。
この国立博物館が面しているのがヴァーツラフ広場。
ここはパリでいうと、シャンゼリゼ通りのような雰囲気があるところで、
1968年のいわゆる「プラハの春」。そして、1989年のビロード革命。
歴史の舞台となった場所なのである。


国立博物館

ヴァーツラフ広場周辺は5年前訪れた時よりも、確実に発展しているように思われた。
その一方で、今までのちょっとヘンテコなプラハらしさは失われてしまうのだろうかと寂しくもなる。
ガイドブックによると、ヴァーツラフ広場をヴルタヴァ川方面に歩いていき、
Vodickova という通りを左折すると、Novomestsky Pivovar というビアホールがあるようだ。

このビアホールは宿からも歩いて行けるところにあるので、
初日の夜はまずはここでビェールを呑んでやろうではないかと企んでいたわけだ。
ただ、心配なこともあった。それは常に私は一人旅であるということで、
1人でビアホールに行くというのは、何とも心細い感じがしてしまうということである。


国立博物館側から見たヴァーツラフ広場

葛藤はしたが、ビェールを呑みたいという欲望が不安を凌駕し、店内へゴー。
店内に入ると、あなたは1人か。と尋ねられた。
そうである。と伝えると、2階へ上がってください。と告げられた。
2階へ上がると、そこにいた店員から座席に誘導されたが、そこには先客がいた。

かくして、私は時を同じくしてこのビアホールを訪れていた中年の英国人夫婦と相席となった。
私は戸惑いつつも、ははは。とこの夫妻に不気味に笑っていたのだが、
やはり気味悪がられてしまったようだ。とくに夫人は明らかに怪訝そうな顔をしていた。


ビアホール「Novomestsky Pivovar」

店員が注文を訊きに来たので、私はメニューを指差しながら注文はしたが、
メインディッシュに添える炭水化物にライスを要求してしまった。
私はチェコ名物のクネドリーキ(蒸しパンのようなもの)を要求しようと考えていたのだが、
相席となったことで動揺してしまい、本来ならば希望しない食品を要求してしまったのである。

さて、このように相席となったからには、だんまりを決め込んでの食事というのはむつかしい。
この英国人夫婦と自由に会話できたらよいことだ。しかし、私は語学に自信がないのである。
ま、結果的には私はこの英国人夫婦と会話をした。
会話をしたから私はこの相席した2人が英国人でかつ夫婦であることを知っているのである。

英 「あなたは何処より来たの?」
私 「ジャパンです」
英 「ジャパンといえばトーキョーだよね。あとキョートだよね」
私 「オーサカもありますよ」
英 「オー。知ってるよ。オーサカね。ところで君はトーキョーから来たの?」
私 「いえ。サイタマです」
英 「サイタマ?知らないぜ」
私 「トーキョーの近くです」
英 「オー。トーキョーね。ははん」

みたいな会話であった。
が、ヒアリング能力が欠如している私は正確に夫妻の言わんとしていることを理解できなかった。
旦那は、私の英語が悪いから伝わらないのさ。とのたまっていたが、んなわけは無い。
ま、どちらかといえば旦那より夫人のイングリッシュのほうが聞き取りやすかったのだが。


「Novomestsky Pivovar」 においてあった小冊子

そんな中、私は500mlの黒ビェールを飲み干し、もう一杯別の銘柄のビェール500mlを呑んだ。
そのうちアコーディオン奏者が登場し、リクエストに答えながら流麗な旋律を奏で始めた。
地元の人なのだろうか、4人で訪れていた女の子たちが音楽に合わせてノリノリであった。
笑いながら両手を揺さぶったり、足踏みを踏んだりしていたのが印象に残っている。

存分呑んだるぞ!と意気込んではいた私だが、早い時間帯に腹いっぱいとなってしまった。
ここらへんで、そろそろお暇するかな。私は英国人夫婦によい旅を!と別れを告げて店を出た。
夫妻の怪訝な表情は消え失せていた。2人とも笑顔で私を見送ってくれたのである。
時計を見やると22時をまわったところ。宿に戻る前に、ちょいと旧市街広場に足を伸ばそうか。
カレル橋も渡っちゃおうかしらん。ほろ酔い加減の私の足は疲れを知らずずんずん進んでいった。

モーツァルト:交響曲第25番&第40番

モーツァルト:交響曲第25番&第40番

  • アーティスト: ワルター(ブルーノ), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, モーツァルト
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2004/11/17
  • メディア: CD


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夜の旧市街広場 [2007中欧3ヶ国の旅]

夜のプラハ、旧市街広場に向けて歩いていく私。
旧市街広場にはさまざまな見所があるけれども、目玉は天文時計だろう。
この天文時計。精密なメカニズムで稼動しているからくり時計なのである。
毎正時、このからくりが動き出すのであるが、からくりの稼動は午前9時~午後9時の間だけ。
つまり、午後10時をとうにまわった今日はもうからくりを見ることは叶わない。


天文時計(2002年撮影)

5年前訪れた際も、大洪水のため、このからくりは停止しているようだった。
時間になり天文時計前に大勢の観光客が集っていたが、
ついにからくりは動くことがなかったことを思い出す。
まあ、からくりの楽しみは明日以降だな。と考えながら歩いていると見覚えのある建造物が。


エステート劇場

この淡いグリーンで塗装された建物、エステート劇場という。
1787年モーツァルトが自ら指揮し「ドン・ジョヴァンニ」を初演した劇場なのである。
ミロス・フォアマン監督の傑作映画「アマデウス」のオペラシーンもここで撮影された。
私は5年前ここで「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞したのだった。


「ドン・ジョヴァンニ」初演を記念する像

さらに見覚えのある小路をずんずん進んでいくと、巨大な空間が広がった。
旧市街広場に着いたのだ。年末年始の時期だからか、赤い屋根の露店が多数出ていた。
とはいえ、22時を過ぎた今はシャッターが下り、広場も閑散としている。


露店の向こうに聳え立つゴシック建築はティーン教会

周辺の教会も当然閉まっており取材できない、今はただこのプラハの空気を感じるだけだ。
ここからもうちょいと歩けば、5年前渡ることの出来なかったカレル橋がある。
未知の領域に足を踏み入れようとした私だったが、ストップがかかった。
急いで宿へ戻らねばならぬ。激烈な便意を催していたからである。

慣れぬ土地で公衆便所を見つけることは容易ではない。
5年前の記憶を頼りに地下鉄の駅に入って行き、公衆便所を見つけるも、
便所もこの時間帯には閉まっていた。
こんな時の裏技。本当はいけないが、マクドナルドのトイレを拝借というのがある。
公衆便所は有料であるが、マック(関西はマクド)を利用すればただで済む。


旧市街広場にて

私はヴァーツラフ広場に面したマクドナルドを発見し店内へ闖入。
が、店内はとても賑わっており、トイレも同じく賑わっていた。
私はマクドナルドを諦め、急いで宿へ戻ったのだった。そのまま取材1日目終了。
ビアホールのビェール500ml+500mlがこんなところに影響を及ぼしてしまったのだった。
 

モーツァルト : 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527全曲

モーツァルト : 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527全曲

  • アーティスト: フルトヴェングラー(ウィルヘルム), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, シェビ(チェーザレ), ウィーン国立歌劇場合唱団, グリュンマー(エリザベート), シュワルツコップ(エリザベート), ベリー(バルター), エルンスター(デジェー), デルモータ(アントン), モーツァルト
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2000/04/19
  • メディア: CD


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