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小さな木の実 [音楽]

皆さん、「小さな木の実」という歌をご存知だろうか。
私が小学生のとき使用していた歌集に「小さな木の実」は掲載されていた。
作曲者はビゼーだった。歌劇「カルメン」を作曲したあのビゼーである。

「小さな木の実」は哀愁漂う曲で、聴いていると何とも切なくなるようなメロディーであった。
歌詞も、昔パパと小さな木の実を拾いに行ったけれども、そのパパはもういない。
そんなような哀しい内容ではなかったか。
だが、メロディーはことのほか美しく、いつまでも私の心の中に残り続けていたのだった。

後年クラシックを聴くようになった私は、ビゼー作曲の「小さな木の実」も聴きたくなってしまったが、
CD店で作曲家別に区分けされた棚へ向かい、Bizetの欄を 1枚 1枚隈なく探して回ってみても、
どのCDに「小さな木の実」が収録されているのか判然としなかった。
「童謡・唱歌大全集」みたいなCDを探せば、収録されているのだろうが、そういうのではなくて、
大編成のオーケストラがあの哀愁のメロディーを奏でているような盤を私は欲したのである。

いったんCD店から撤退し、私は調査を開始した。
程なく私は「小さな木の実」は「美しきパースの娘」に登場する旋律であることを知った。
再びCD店に赴いた私はBizetの欄から組曲「美しきパースの娘」のCDを迷わず購入したのである。
帰宅後すぐさま自室で組曲「美しきパースの娘」を再生させた。
約12分間。私は努めて神経を集中させ聴いていたが、
「小さな木の実」のメロディーはついぞ登場しなかったのであった。
何度聴いても同じことであった。違っていたら大変であるよなあ。
はて、これはデマだったのだろうか。
調査を続けたが、やはり「小さな木の実」は「美しきパースの娘」の旋律ということであった。
複数の同情報を得ていたため、これがデマとは考えにくかった。

ひるまず調査を続行した私は、やがて致命的な間違いをしていることを知るのだった。
「小さな木の実」は歌劇「美しきパースの娘」に登場する旋律だったのである。組曲ではなく歌劇。
組曲「美しきパースの娘」には「小さな木の実」の旋律は登場しないのだ。
組曲版は歌劇版の要約版的な趣があるが、「小さな木の実」の旋律は省かれてしまったようだ。
なぜにこんな美しいメロディーを組曲版では採用しなかったのかとも感じたが、
こうなればもう、「小さな木の実」はすぐそこなのである。
歌劇「美しきパースの娘」のCDを購入すればよいのであるから。
とうとう私は「小さな木の実」を追い詰めた。

またまたCD店に突入。今度はBizetの欄ではなくて、オペラの欄を丹念にチェック。
が、困ったことに歌劇「美しきパースの娘」のCDは置いていなかった。
どんなに大きなCD店へ行っても置いていなかった。
残念なことに、歌劇「美しきパースの娘」は人気のある歌劇ではないようだった。

が、ここまで来て「小さな木の実」を取り逃がすわけには行かない。
諦めきれない私は、はるばるロシアから歌劇「美しきパースの娘」のCDを入手することに成功した。
ロシアは郵便事情が悪いため、自宅に届くまで数ヶ月かかった。
その上、中身を見てみるとケースが割れていた。
そんなことはこの際、赦そうではないか。ついに待望の「小さな木の実」が聴けるのであるから。


入手したCD。割れたケースは取り替えました…。

聴いた。聴いたよ。
テノールのおっさんが「小さな木の実」の旋律を詠唱していた。
が、おおっ!感じたのも束の間であった。
というのも、「小さな木の実」の旋律が登場したのは僅か1分ほどだったからである。
私が追い求めてきたのはこの1分間だったのか。
ははははは…。と脱力しつつも、私はその1分間を何度も何度も繰り返し聴いたのだった。
1分間。ははははは…。1分間。ははははは…。1分間。ははははは…。というように。
そして、その1分間を語らんがために、こんな長い文章。ちょっと長いぞ。反省。ははははは…。


ジョルジュ・ビゼー (1838-1875) のお墓。


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モーツァルト生誕250年 [音楽]

今年はモーツァルト生誕250年ということである。
ということは、昨年はモーツァルト生誕249年だったはずなのに、
そんな風に騒いでいる人間は皆無に等しかった。
それは、「250」という数字がキリのよい番号だからだと思われる。
「キリ番ゲッター」の心理と近いものがあろう。
ただし、1879年にモーツァルト生誕123年ということで各種イヴェントが行われたのかは知らない。

さて、モーツァルト以外にも2006年がキリのよい記念の年である偉大な作曲家はいるのである。
2006年はシューマン没後150年であるし、ショスタコーヴィチ生誕100年の年なのである。
ショスタコーヴィチの生誕100年の「100」はモーツァルト以上にキリのよい番号ではないか。
でも、モーツァルトばかりが注目されてしまう。「神童」なのだから、仕方がないだろう。
シューマン、ショスタコーヴィチは、1年調整すれば、こんな風にはならなかった。甚だ運が悪い。

でも、あと50年経ったらどうであろうか?
モーツァルト生誕300年である。
そしてシューマン没後200年であるし、ショスタコーヴィチ生誕150年なのである。
その時もやはり、モーツァルトばかりが注目されるのだろうか?

あと100年経ったら、200年経ったら、300年経ったら?
いや、もしかすると、その年はモーツァルト以上の大天才の記念の年であるかもしれない。
そして、その大天才は今年生を受けるのかもしれないのだった。


今年はシューマン没後150年。シューマン夫妻のお墓。


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「荘厳ミサ曲」と「バルセロナ」 [音楽]

ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」のCDを購入した。
オットー・クレンペラーが指揮する名盤の誉れ高い盤を購入したのである。
なんで、購入したのかは後日明らかになるだろうけれど、とにかく聴きこんでいないから、
「荘厳ミサ曲」について云々述べることは出来ないし、ミサ曲と言うくらいであるから、
キリスト教の知識が無ければ、うまいこと理解することが出来ないだろうと思われるのである。
うまく理解できないであろう音楽というのは、まことに哀しい存在で、
本来ならば、むつかしいこと考えずに、ただ聴いて感動できたらよいのである。
だいたいにおいて、「荘厳ミサ曲」は「ミサ・ソレムニス」とも呼ばれているのだけれども、
「ミサ・ソレムニス」という題名自体がむつかしい題名である。

「ミサ・ソニムレス」…×
「ミサ・ソムニレス」…×
「ミサ・ソレニムス」…×
「ミサ・ソムレニス」…×

このように、「ミサ・ソレムニス」というのは私にとって非常に覚えづらい文字の配列を成している。
私はベートーヴェンのお墓というのは訪れたことは無い。
ウィーンの中央墓地にシューベルト、ブラームスと並んでお墓があるというのは聞いているけれど、
未だ、訪問する機会が無いままなのだった。
でも、生家というのは昨年訪れたのだ。私はお墓ばかりでなく生家も訪れるのである。たまには。


ドイツ、ボンにあるベートーヴェンの生家「ベートーヴェン・ハウス」。

ベートーヴェン・ハウスの中は撮影禁止であるので、中の様子を写したものは無いのだけれど、
ベートーヴェンが使用したピアノが展示されている部屋において、学芸員?なのか知らないけれど、
椅子にちょこんと腰掛けていたおばちゃんが話しかけてきたのは憶えている。
天皇陛下がここを訪れたのよ。というようなことを言っていたような気がする。
最上階は、ベートーヴェンが誕生した部屋というのがある。
今では、ベートーヴェンの胸像以外、何も置かれていない部屋であったが、
何しろ、あのベートーヴェンが生まれた部屋なのである。これは感慨深いものがあった。


「ベートーヴェン・ハウス」日本語冊子。
各部屋の展示品1点1点が日本語で解説されており、これを見ながら巡回することで、
ベートーヴェンの生涯をたどることが出来るようになっている。

あと、今日もう1枚購入したCDがあって、「クイーン グレイテスト・ヒッツIII」というCDである。
まったく、違うジャンルのCDを購入して、なんなのだと憤る方もあるやもしれないけれども、
これは「バルセロナ」という曲が聴きたくなったからである。
「バルセロナ」はバルセロナ五輪を思い出す曲である。
バルセロナでは「今まで生きてきた中で一番嬉かった」人もあったし、「こけちゃった」人もあった。
なんで、このCDを購入したのかは、これも後日明らかになるかもしれない。

ベートーヴェン:荘厳ミサ曲

ベートーヴェン:荘厳ミサ曲

  • アーティスト: クレンペラー(オットー), ニュー・フィルハーモニア管弦楽団, ニュー・フィルハーモニア合唱団, ゼーダーシュトレーム(エリザベート), ヘフゲン(マルガ), クメント(ワルデマール), タルヴェラ(マルッティ), ピッツ(ウィルヘルム), ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2002/03/06
  • メディア: CD

グレイテスト・ヒッツIII(期間限定)

グレイテスト・ヒッツIII(期間限定)

  • アーティスト: クイーン, エルトン・ジョン, デヴィッド・ボウイ, モンセラ・カバリエ, ジョージ・マイケル
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2006/03/08
  • メディア: CD


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