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2012ボストーク号で行くロシアの旅 ブログトップ
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天壇公園で [2012ボストーク号で行くロシアの旅]

2012年7月14日(土) 現地時間 午後2時55分 北京地下鉄 北京駅

北京地下鉄の乗車券
北京地下鉄の乗車券(ICカード)

さて、実は私、今回が2度目の北京である。前回は2008年北京オリンピックの3か月前に訪れた。
故宮、天壇、胡同の町並み、万里の長城、京劇鑑賞…。どれも印象深く記憶に残っている。
時間の余裕がある今、私はそのうちの故宮か天壇かのどちらかにもう一度行ってみることにした。
一度訪れた場所ではあるが、私としては再訪しても問題は無いし、どちらも北京駅から遠くない。
ただ、故宮は午後5時で閉まるらしいので、今から訪れても広大な故宮を歩くのには慌ただしい。
その点、天壇は午後8時まで開いているらしいから、ぶらぶらするにはちょうど良いと思われる。
そんなわけで、私は天壇に行くことに決め、北京駅前広場の地下鉄駅で切符を購入した。

紙の切符
4年前はこういう紙の切符だった

地下鉄は一律2元。切符はICカードでこれを改札にかざして入場する。
4年前は、紙の切符で改札にはもぎりの人がいたが、紙の切符は程なく廃止になったらしい。
地下鉄の路線もこの4年間でだいぶ増えた。4年前は5路線だけだったのが今は15路線もある。
また、改札前にX線による手荷物検査を受けなければならない。これも4年前は無かったと思う。
4年間での急激な変化を感じつつ2号線に乗車して1駅。さらに崇文門駅で5号線に乗り換えて2駅。
天壇東門駅に到着。地上に出てくると、確かに4年前にも来た見憶えのある場所でなつかしい。

天壇公園チケット売場
世界遺産、天壇公園チケット売場

天壇公園入場チケット
天壇公園入場チケット。35元(公園内の施設に入場できる共通券)

天壇公園は入場するだけなら15元だけれど、公園内の施設に入場できる共通券は35元である。
公園内の施設とは何かというと、例えば祈年殿のような建物のある空間のことである。
祈年殿は天壇の象徴的な建物で、私は梅原龍三郎がこの建物を描いていたことを想い出す。
一方、15元の入場料で済む空間は、地元のおっさんやおばさんが思い思いの時間を過ごしている。
大勢で唄を合唱していたり、トランプに興じていたり。そういう風景を垣間見られるのもまた面白い。

天壇公園で
天壇公園で

トランプといえば、カエル、コースターとともに私がコレクションにしている品のひとつである。
天壇の土産屋を覗いてみたところ、いろいろな図柄のトランプがあった。
中にはビンラディンやカダフィを図柄にしたひどく悪趣味なトランプがあったりする。
こうしたビンラディンやカダフィを私のトランプコレクションに加えるのもアリかもしれないけれど、
なんせ、これから私はボストーク号に乗り、中国からロシアに向かう身である。
ロシアに入国する際の荷物検査でそんな図柄のトランプが出てきたらやはり印象が悪いだろう…。
まあ、考えすぎなのかもしれないが、ビンラディンおよびカダフィトランプの購入は見送った…。
で、代わりに購入したのが次のような図柄のトランプである…。1個30元であった。

トランプ
なんでこんなに買ってんだ…

プーチン・トランプ
注目はプーチン・トランプ。今回のロシアの旅にふさわしい?

このトランプを購入した土産屋のすぐ隣にまた別の土産屋があったので、ここも覗いてみた。
ここにもいろんな図案のトランプが売られていたが、値札を見ると何とトランプひとつ65元もする。
同じようなトランプなのに隣の土産屋の倍以上の価格。隣の土産店から仕入れてきた?まさか…。
そのあからさまなボッタくり価格に驚いて立ちつくしていると、こんな囁き声が聞こえてきた。
「リーベン、リーベン…」
「リーベン」とは「日本」という意である。たぶん私のことを指して言っているのであろう。
その直後、片言の日本語を話す女性店員がぴったりと私をマークするようについてきた…。
未だに日本人客は土産店にとって格好のターゲットなんだろう。以下店員との会話である。

店員「トランプ。いらない?」
私「トランプはもう買ったし、ここは隣の土産店より高いよ」
店員「隣。いくらした?」
私「30元だよ」
店員「じゃあここも30元でいいよ」
これで65元が一気に30元になってしまった。いったいどういうことなんだ…。
さらに、店員は巨大な扇子を買うように私に勧めてくる。扇子は200元(2400円ほどか)もする。
これから列車でロシアに向かう私にとって、そんなもん邪魔である…。以下店員との会話である。

店員「これ(扇子)。いらない?」
私「いらないいらない。荷物になる」
店員「これ安いよ!(扇子をあおぎながら)安い!丈夫だよ!」
私「とにかく…いらない…いらない…」
店員「120元でいいよ。安い!安い!やぁすぅいぃ!」
やはり一気にディスカウント価格になってしまった。こういう土産店でも値切らないとダメなのか…。
やがて気がつけば、買わないと店を出られないような空気になってしまっている…。マイッタ。

祈年殿
祈年殿(皇帝が豊作を祈った場所)

結局、女性店員の「やぁすぅいぃ」の連呼に負けてしまい、私は扇子を購入する羽目になった。
いくらで購入したのか、ぼんやりとしていて憶えていないが、1000円くらい払ったのかもしれない。
こんな扇子なんて二束三文であるに違いないのに、1000円はいくらなんでも払い過ぎである…。
この一件に憮然となりながら、私は祈年殿の空間に入場するべく歩いて行った…。
祈年殿では通りかかった観光客にお願いして、建物を背景に記念写真を撮った。
その際、なんとなくこの忌まわしい巨大扇子を広げてポーズを撮ってみた私がいた…。
このように、無理やり扇子を活用し、扇子購入の正当性を付与しようとする哀れな私であった…。

巨大扇子
買う羽目になった巨大扇子。裏には般若心経が書いてある…
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ファストフードの北京ダック [2012ボストーク号で行くロシアの旅]

2012年7月14日(土) 現地時間 午後4時27分 北京 天壇公園

祈年殿
祈年殿

公園内の施設に入場できる35元の共通券を購入したから、そのすべての施設を見ようと思う。
共通券で入場可能となる施設とは祈年殿、皇穹宇、圜丘という3つの施設である。
そのうちの祈年殿はすでに入場した。次は皇穹宇というところに入場しようと思う。
実は、4年前に訪れた時も共通券を購入したのだが、この皇穹宇というところには入場しなかった。
というのも、その時は雷鳴、強風の悪天候でもう取材どころでない状況だったのだ…。

皇穹宇 入場の行列
皇穹宇 入場の行列

回音壁
回音壁の看板

その皇穹宇の前までやってくると、入場の行列。そして「回音壁The Echo Wall」の看板がある。
皇穹宇の空間はぐるりと円く壁に囲まれているが、この壁が回音壁なのであろう。
どんな壁なのかよく知らないが、この壁に向って声を発すると反対側の壁に響くということらしい。
壁に耳を近づけて声が響いているか試している人が何人かいたが、一人旅の私は試しようがない。
しかし、ここは観光客だらけのガヤガヤした空間である。ちゃんと聞こえるのだろうか…。
そういえば、ロンドンのセント・ポール最聖堂にも同じような壁があった気がする。

皇穹宇
皇穹宇(皇帝の位牌をおいたところ)

次は圜丘に入場。皇帝が五穀豊穣を祈念した祭壇であるが、ここも音に関係のあるところである。
祭壇の最上段の中心にある円い石の上で声を発すると天からの声のように響いて聞こえるという。
この中心点は恰好の記念撮影スポットであるようで、写真撮影を待つ行列ができている。
中心点に立って声の響きを試してもみたかったが、この行列を見て億劫になり眺めるだけにした。
これで有料の施設3つをすべて見た。時刻は午後5時を過ぎている。園内の人が減りだした。
公園自体は午後8時まで開放されているのだが、どうやら有料の施設は早く閉まってしまうらしい。
まあ、だいぶ時間をつぶすことができた。あとはどこかで夕食をとり北京駅へ戻ることにしよう。

圜丘
圜丘

圜丘の最上段
圜丘の最上段

地下鉄に乗り、何となく飲食店が多いであろうと思われる前門大街というところにやってきた。
北京オリンピックに合わせて再開発されたそうで、まるでテーマパークのような感じになっている。
ここ前門大街に本店を構えるのが北京ダックで有名な全聚徳である。
何となくその本店前で様子を見ていたら、店の中からおっさんが出てきて立て看板を置いていった。
看板に出ている漢字の解読を試みるが、意味がわかりそうでわからない…。
とりあえず、看板に示された矢印の方向に行ってみると、これが入りやすそうな雰囲気なのである。
私はそのまま、ファストフードの店であるかのような全聚徳に入店して適当な席に腰かけた。

前門
前門

出された看板
出された看板

程なくおっさんがメニューを持って現れた。でもやっぱり言葉がわからない。
おっさんは言葉が通じないことを悟ると、若い女性店員を呼び付けた。
やってきた女性店員は英語を話す人であったので、これでかんたんに注文をすることができた。
注文したのは北京ダック一人前のお手軽セットみたいなもので120元(1400円ほどか)。
これとビールの大ジョッキ25元(300円ほどか)を注文。これで列車の旅の景気づけである。
ひとりでも気軽に北京ダックを味わうことができて、旅の序盤から満足な展開ではある。
しかし、高級店のイメージがあった全聚徳、敷居をさげ過ぎなのではないだろうか…。

食べたもの
食べたもの。スープもついてます

この2か月後。ウルムチの全聚徳が「日本人お断り」の看板を掲げているとのニュースがあった。
ロビーに置かれた日の丸が踏みつけられたりしたそうで、全聚徳でもそんなことするのかと驚いた。
まあ、日本にも全聚徳の支店はあるわけであって、ずいぶんと間抜けな話であると思う。
この件とファストフード的全聚徳とが相まって、高級店全聚徳のイメージはガラガラと崩れていった。

行列
全聚徳本店前の行列

さて、はなしを7月に戻すことにしよう。
食事を終え、全聚徳を出ると入店を待つ長い行列ができていた。
列に並ぶこともなく、何気なく入店して食事をした私だが運がよかったのかもしれない。
持ち帰り用の北京ダックを購入していく人も多くいたので、或いはその行列だったかもしれないが。
しばらく前門界隈をぶらぶらし、北京駅に戻ったのは午後8時頃であった。
ボストーク号乗車まであと3時間ほどとなった。

星巴克珈琲
前門大街の星巴克珈琲
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ボストーク号乗車 [2012ボストーク号で行くロシアの旅]

2012年7月14日(土) 現地時間 午後8時10分 北京駅

北京駅
北京駅

北京駅に戻ってきた。午後8時を過ぎると駅舎がライトアップされた。
さっそく預けていた荷物を受け取り、駅舎に入りたいところだが、ちょっと買い物をしようと思う。
駅に付属したスーパーに入り、列車内で飲食するものを調達するのである。
食料はある程度日本から持ってきているが、飲み物は今買わないと列車内で苦労するだろう。
というわけで、ここでは以下のものを購入した。

ミネラルウォーター 500ml 2本(1本2元)
燕京ビール 330ml缶 1本(5元)
崂山ビール 330ml缶 1本(4元)
カップめん 1つ(5元)
よりずぐるしざい!!(5元)

よりずぐるしざい

左端に「よりずぐるしざい!!」と書いてある。お菓子だと思うが結局こわくて食べず…

これらを購入して、荷物預かりでスーツケースを受け取り、駅舎の中へ向かう。
ボストーク号の乗車券とパスポートを提示し駅構内へ入り、巨大な電光掲示の時刻表を見る。
「K19次 莫斯科 23:00 2楼中央検票庁 正点」とある。本当に列車でモスクワに行くんだなと思う。
2楼ということで、2階に行くべきであると思われたので、エスカレーターで上階へ。
すると、K19次つまりボストーク号は8-9番ホームから出発するようであることが判明した。

北京駅構内
北京駅構内

電光掲示板
K19次 莫斯科 23:00 2楼中央検票庁 正点

時刻は午後8時30分頃。ホームに入場できるのはボストーク号出発の30分くらい前だろうか…。
もしそうだとすると、2時間以上時間がある。私はすることもなく床に座り込んだ。
周りにも座り込んでいる人たちがたくさんいるが、ほとんどが中国の人である。
ボストーク号に乗ると思われる欧米の人たちもいるにはいるが、数える程であった。
面白いのはみな床に直に座らずに何か敷いていることで、必ず新聞やらを敷いた上に座っている。
地面につばを吐く人がいっぱいいる国だから、やはり直に座るのは抵抗があるのかもしれない。
どこか向こうのほうでおばさんがわめいている。駅員が対処している。忙しい国だと思う。

列車を待つ人々
列車を待つ人々

8-9番ホーム
8-9番ホーム改札付近で

午後10時30分頃。改札の係の女性駅員が2人やってきた。検札を受け、いよいよホームへ向かう。
重いスーツケースを持ちながら、階段を下ると薄暗い静かな空間でボストーク号が停車していた。
乗車券には"CARRIAGE No. 04"と記載されているので、私は4両目に乗車するはずであるが、
その4両目と思われる付近で立ち止まると、待機していたロシア人車掌が乗車券を確認してくれた。
私と同じくらいの背だから165cmくらいの人だろう。この人にこれから6日間お世話になるわけだ。
ちなみにボストーク号はロシアの車両で、「ボストーク」とは「東」を意味するロシア語である。
ウラジオストクという町があるが、あれも「ウラジボストーク」で「東方を支配する町」の意だという。

ボストーク号停車中
ボストーク号停車中

小太りの車掌に案内され客車に入る。そしてパスポートと乗車券を車掌に預ける。
車掌はパスポートを見て私に何か言ってきた。当然ロシア語なのでわからない。
わからないけれど「イーミャ」という語が聞き取れた。しかし「イーミャ」とは何だろう?
私はE-mail(イーメール)のことだと思い込み、メールアドレスの交換でもするのだろうかと思った。
自分のメールアドレスは何だっけ?と思いながら「E-mail?」と車掌に訊ねてみる。
すると、車掌は首を振りながら私のパスポートに目を落とし、私の名前をつぶやいたのだった。
おそらくは私の名前の確認だったのだろう。そのことに気がついた私は、何回も頷き名を名乗った。
車掌も自身の名前を私に名乗ったようだった。長い道中、まずは自己紹介といったところだろうか。
しかし、ほんとうに何を言っているのかわからない。乗車早々、私は暗澹たる気持ちになった…。
なお、後で持ってきていたロシア語会話帳で「名前」を調べると、「имя(イーミャ)」とあった…。

コンパートメント
コンパートメント

客車にはビニールに入ったシーツが置かれていた。これを敷いて寝ることになる。
とりあえずビニールを破き、シーツのセッティングを試みるが、とにかく流儀がわからない。
座席の背もたれ部分を倒し、適当にシーツをセッティングしてベッドらしくしてみる。
そのベッドメイキングの作業中、また小太りの車掌が見回りに来た。
何かと思ったら、ちゃんとシーツをかけて寝るようにとジェスチュアを交えて示してくれた。
わるい車掌ではなさそうだ。まずは安心であるが、やはりロシア語がさっぱりわからない。

シーツ
シーツ

その不安を反映したような暗い北京駅のホームを列車が発車したのは午後11時の2分前だった。
アナウンスも何もない。とにかく静か。だいたいこの車両の乗客は私ひとりだけのようである…。
買ってきたビールを1缶飲んですぐに寝ることにした。ボストーク号。そんな宇宙船もあった。
暗い空間でひとり不安な私はその「ボストーク号」に乗った宇宙飛行士のような気分で横になった。

ベッドにしてみた
背もたれを手前に倒しベッドにする
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