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ウェーバーに会いに行った。 [お墓]

小学校や中学校の音楽室の壁には偉大な作曲家たちの肖像画が時代順に掲げられている。
バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン…。
ベートーヴェンの次に掲げられていたのがウェーバー(1786-1826)の肖像画であった。
今日はこのカール・マリア・フォン・ウェーバーの誕生日ということである。

当時、テレビゲームに「メトロイド」というゲームがあったと思うが、
この「メトロイド」には「ウェーバー」という敵が登場したように思う。
それ故か、私のウェーバーに対する印象というのは、良いものではなかった。
肖像そのものも、斜に構えたようにこちらをじろりと見ている面長だったので、気持ち悪かった。
当時、クラスの女の子が2人組みでリコーダーコンクールに出るというので、
ウェーバーの曲を演奏していたと思うが、どんな曲だったか思い出せない。
ま、どうでもよかったのでしょう。

だが、その後、クラシックを聴くようになってウェーバーのCDも何枚か購入することになった。
初めて購入したのが、オペラ「セダンの車種」ではなく、オペラ「魔弾の射手」のCDである。
カルロス・クライバーが指揮する盤で超名盤と称されているものである。
これは確かに「ウェーバー=気持ち悪い」という、しょうもない偏見を払拭するのには充分すぎた。

調査するとウェーバーのお墓はドレスデンにあるということである。
ということで、ドレスデンを訪問の際には是非ともウェーバーに会いたいなあと思うようになった。
私は非常に単純な人間である。私はドレスデンへ行った。

2005年5月1日。午前9時30分を回った頃。私はドレスデン中央駅に到着した。
メーデーなので政治団体の集会が催されていた。
それを脇に見ながら、旧市街地区をどんどん進み、私はエルベ川を目の当たりにした。
フラウエン教会、ゼンパーオペラ。絢爛たる建造物が取り囲み、観光客もいっぱい。
おお、ここはもしかしてドレスデンではないか!と思いつつ、
私はエルベ川沿いに人気の無い方をずんずん進んでいった。

事前の調査でウェーバーのお墓はMagdeburger Str.という通りにあることが判明。
その通りにはワーグナーが住んでいた建物があり、その向かいにカトリック墓地があるらしい。
そして、そのカトリック墓地にウェーバーはいるらしいのだ。

Magdeburger Str.に向かっててくてく歩く、もはや観光客など誰もいなくなった。
どういうわけだか暑い。空中を無数の綿毛が浮遊している。何の植物の綿毛なのだろうか。
通りには、人っ子一人おらず、この綿毛が飛び交う中、私は何をしているのか。
そのような疑問を抱かないわけではなかったが、気を確かに交差点に立つ標識を注意深く確認。Magdeburger Str.はどこなのか。Magdeburger Str.はどこなのか。それにしても暑い。

恐らくは第二次大戦の爆撃を受けた状態のままと思われる建造物があった。

爆撃の跡なのか?

そして、Magdeburger Str.を示す標識も程なく見つかった。
ここまでくれば、まもなくウェーバーに会えるだろう。
ワーグナーが住んでいたという建物も見つかった。

ワーグナーが住んでいた家に掲げられていたプレート。

その向かいには確かに墓地があった。脱帽して奥へ進んでいくと、はたしてウェーバーがいた。

ウェーバーのお墓。

あのような華やかな曲を生み出した割にはひっそりしていたように思われた。
私の心の中では「魔弾の射手」序曲がかかっており、こみ上げるものもあったが、
その華麗な旋律は、この雰囲気にそぐわないような感じもしてしまったのである。
私は少々複雑な気持ちになり、カトリック墓地を後にし、綿毛舞い飛ぶ中、旧市街へ戻っていった。
 

ウェーバー:魔弾の射手 全曲

ウェーバー:魔弾の射手 全曲

  • アーティスト: ライプツィヒ放送合唱団, ヤノビッツ(グンドゥラ), マティス(エディト), アダム(テオ), シュライアー(ペーター), ドレスデン国立管弦楽団, ウェーバー, クライバー(カルロス)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 1998/05/13
  • メディア: CD


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